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お母様の事が大好きだから

「あら、そうなのね。確かに危険かもしれないけど……ゼウスに使えば毎日仕事が早く終わりそうね」


 お母様は毎日苦労しているんだね。

 かわいそうになってきたよ。

 でも……


「お母様……お父様が使っても元気になるだけでやる気は増えないと思うよ?」


「え? それはダメね。もしゼウスが元気になって遊び回られたら、今以上に仕事が滞る事になりかねないわ」


「嫌な予感しかしないよ」


「そうね……絶対にゼウスには使わないわ」


 あ……

 最後の一枚が終わったね。


「……よし! 今日の仕事は全部終わりだよ。頭が冴えているから、まだまだできそうだけど」


「あらあら。すごいわ。かなり元気なのね。ん……? かなり元気? これは初孫の予感……でも、まだ月のものが来ていないし……でも、もしかしたら……でも……」


 お母様が真剣な顔で呟いているね。


「……? お母様? どうかしたの?」


「え? あぁ……大丈夫よ。せっかくだからウリエルが用意した『愛の島』にでも行ってきたら? ほら、ハデスが気持ちを安らげるお茶を飲んでなんとか冷静になろうとしているわよ」


「それで、さっきからずっとお茶を飲み続けているんだね」


 あのうどんみたいな木の実は危険だよ。

 ハデスは口から飲んだから媚薬の効能があるんだっけ?


「あれ以上お茶を飲んだら身体に良くないわ。二人で『愛の島』に行けばハデスも楽になるはずよ」

 

「そうなの?」


「ふふ。確かに孫も欲しいけど……それ以上にハデスとペルセポネには幸せになって欲しいのよ」


「お母様……」


「遥か昔……お母様がハデスにしてしまった事を思うと本当に申し訳なくてね。だからこそ二人には誰よりも幸せになって欲しいの」


 お母様が辛そうな顔をしている?

 ハデスをヴォジャノーイ族にした事を言っているんだね。


「お母様……わたしは今、すごくすごく幸せだよ」


「ペルセポネ……」


「だから、そんな辛そうな顔をしないで欲しいよ。お母様は魂になったわたしをずっと見守り続けてくれたんだから。お母様がわたしの魂を群馬のある世界に逃がしてくれたから、今こうして幸せになれたんだよ」


「ありがとう……ペルセポネは優しい子ね。こんなに酷い母親に感謝してくれるなんて……」


「酷くなんてないよ。お母様はすごく素敵だし。それに、ハデスがヴォジャノーイ族になっていなかったら今のわたしの幸せはなかったんだから」


 絶対に酷い母親なんかじゃないよ。

 お母様は世界一素敵な母親だよ。

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