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ハデスが人間をアレしないように細心の注意を払う

 店員をしていた男の子が、腰を痛めたおじいさんの家に案内してくれている。

 ベリアルはわたしに抱っこされながらクッキーを食べていて、公爵と護衛もすぐ近くを歩いている。


「姉ちゃんは貴族なの? 全然偉そうにしないんだね?」


 ふふっ。

 かわいいね。

 でも、確かに貴族相手にこの口調だと大変な事になるかもね。


「わたしは貴族じゃないよ? 偉そうにするのも好きじゃないし」


「ふぅん。でも偉い人なんだろ?」


「うーん。偉い人ってどんな人だと思う?」


 やっぱり、この世界の偉い人間って言ったら王様とか貴族とかかな?


「聖女様だよ! あと、王様かな?」


 聖女様ってわたし!?

 王様はお兄様の事かな?


「どうして、その二人を偉いと思うのかな? わたしはこの国に住んだ事が無いから教えて欲しいな?」


「姉ちゃんは、この国の人じゃないのか。だから、皆と顔が違うんだね」


「顔が違う? えっと……どんな風に違うのかな?」


 天族の身体だから普通の人間とは見た目が違うのかな?

 翼はハデスに隠してもらっているけど顔の違いまでは考えていなかったよ。

 どうしよう。


「すっごく綺麗だよ! 髪もキラキラしてるし、目も海みたいに青いし! それに優しいし、金持ちそうだし!」


 金持ちそうっていうのは顔に関係あるのかな?


「あははは! そっかぁ。褒めてもらったって事でいいのかな?」


「うん! そうだよ!」


「それで……王様のどんなところが偉いと思うのかな?」


「ん? そうだなぁ、前の王様は悪い人だったんだ。皆、家も無くて食べる物も無くて。でも、ほら見て? この辺の家は今の王様が、家の無いオレ達の為に建ててくれたんだ! 毎日安心して寝られるようになったんだよ?」


「……そうなんだね。素敵な王様なんだね」


「うん! あとね? 聖女様は王様の妹なんだよ! すっごく綺麗な花火を見せてくれたんだ!」


 あの時の神力の花火か。

 まだあの頃はルゥだったね。

 そんなに経っていないのに、ずいぶん昔の事みたいに思えてくるよ。

 色々あったからかな?


「着いたよ! ここがじいちゃんの家だよ!」


 ここか。

 気難しいおじいさんでいきなり殴りかかられたらどうしよう?

 ハデスとヴォジャノーイ族のおじちゃん達が離れた場所から見ているんだよね。

 もし、わたしに殴りかかりでもしたらおじいさんの命が危ないよ。

 初めは距離をとりながら話して、それから治癒の力で腰を治そう。

 

「公爵は家の外で待っていてくれるかな? おじいさんが警戒しちゃうかもしれないから」


 さっき治癒の力を使える事は話したから見られても構わないけど……

 どう見ても貴族にしか見えない公爵の姿を見て、興奮したおじいさんが、わたしに攻撃してきたら……

 おじいさんの人生が今日で終わっちゃうよ。

 わたしを傷つける行為をハデスは絶対に赦さないだろうからね。

 腰を治しに来たのに、命を落とす事になるなんて絶対ダメだよ。


「では、扉は開けておいてください。安全の為です」


 まぁ、公爵ならそう言うと思ったよ。

 できれば扉を閉めたかったけど……

 でも、扉が閉まっていても魔族の皆は耳がいいから全部聞こえちゃうかな?

 あぁ……どうか、穏やかなおじいさんでありますように。


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