サプライズパーティーは自分からお願いするものじゃないからね
お母様と吉田のおじいちゃんと一緒にお父様の寝室に行くと……
お父様が喜んでいる?
目が覚めたみたいだね。
「あ、ペルセポネっ! 見て見て。この木の実は飲むと媚薬になって、鼻から吸うと元気になるんだっ! お父様が見つけたんだよ。すごい? ねぇ、すごい?」
お父様がすごく嬉しそうにしている。
褒めて欲しいんだね。
「ふふ。すごいね。どこにあったの?」
話を合わせないとかわいそうだよね。
「えへへ。ベットで寝ていたらいつの間にか枕元にあったんだよ。サンタさんみたいだよね。お父様がお仕事を頑張ったからプレゼントを持ってきてくれたのかな?」
お父様の瞳がキラキラに輝いている。
嬉しくて堪らないんだね。
「ふふ。そうかもしれないね。へぇ。うどんみたいな木の実が二つあったんだね」
ひとつはわたしの鼻に注入した分で、もうひとつはハデスのお茶に混ぜた分か。
ウリエルには困ったね。
また変な事をしないといいけど……
「えへへ。早速飾りに行かないと。ペルセポネも一緒に行こうよ。すぐ近くにこれを飾る部屋があるんだよ。皆でお父様のコレクションを見に来てよ!」
すぐ近くに秘密の部屋があるんだね。
「うん。楽しみだよ。誘ってくれてありがとう」
「ペルセポネとは群馬でも色々拾って集めていたよね。懐かしいなぁ。ほら、どんぐりとか松ぼっくりとかさ」
「うん! そうだったよね。綺麗なきのこを持って帰ったら毒きのこで……あの時はドキドキしたよね」
「そうそう。あとは、棒切れを持って山を探検したりさ。また、やりたいなぁ」
「ふふ。そうだね」
「……ねぇ、ペルセポネ?」
「ん? なに?」
「覚えてる? もうすぐお父様の誕生日なんだよ?」
お父様の瞳がキラキラに輝いているね。
期待している気持ちが溢れているよ。
「忘れるはずないよ。この一か月会うたびにその話をしたでしょう?」
わざわざそれを言う為だけに第三地区に来たりもしていたよね。
「サプライズパーティーの事も忘れていないよね?」
「その話も毎日聞いているから忘れるはずがないよ」
第三地区の皆もしっかり聞いていたから、今から色々準備してくれているんだよね。
「えへへ。贈り物は何かな? ごちそうはあるかな?」
「お父様は楽しみで仕方ないんだね」
「だって天界の宴は、誰も心から喜んでくれないんだもん」
「そっか。第三地区の皆は今から張り切って準備しているからね。でも何回も言っているけど自分からサプライズパーティーをして欲しいなんて言うのは恥ずかしい事なんだよ。皆が準備をしている姿を見ても気づかない振りをしてね? 絶対に『もっと豪華にして』とか言ったらダメだよ」
「うん! えへへ。楽しみだなぁ。ねえねえ。贈り物は大きい物がいいなぁ」
今の話を全く理解していないね……
「それも何回も言われているからハデスと一緒にすごく大きい贈り物を考えたの。もう、ベリス王に頼んであるんだよ。楽しみにしていてね」
かなり、ぼったくられたんだよね……
ハデスが支払ってくれたからなんとかなったけど、あり得ないくらい高かったよ。
「うわあぁ! 楽しみだなぁ」
お父様が小さい子みたいに喜んでいるね。
ハデスとのアレを覗き見していた事を怒りたかったけど、こんな姿を見たら何も言えなくなっちゃうよ。




