秘密の部屋の木の実の真実? ~後編~
(それは追々話そうなぁ)
吉田のおじいちゃんが優しく微笑みながら、わたしの心に話しかけてきたね。
……追々か。
うん。
今はまだ知らなくていいっていう事なんだね。
(……ぺるぺるは今すぐにでも知りたくねぇんか?)
うーん……
吉田のおじいちゃんが今はまだ知らなくていいって言うのならそうするよ。
きっと理由があるはずだからね。
今までもそうだったでしょう?
(ぺるぺる……もっとわがままになってもいいんだぞ?)
あはは!
わたしは充分わがままだよ。
ただ……
今わたしが吉田のおじいちゃんに訊いたら、きっと苦しめちゃうと思うから。
(……別に苦しんだりはしねぇさ。ただ、明後日からぺるぺるは冥界の仕事が始まるし、明日は人間と関わる最後の日だからなぁ。それに集中して欲しいんだ)
おじいちゃん……
ありがとう。
いつもわたしを……
皆を大切に想って守ってくれて本当にありがとう。
(本当に、ぺるぺるは真っ直ぐだなぁ。嘘偽りが微塵もねぇんだ。天ちゃんにそっくりだ……)
……!?
吉田のおじいちゃんまで、わたしとお父様がそっくりだって言うの!?
(んん? こりゃ、褒め言葉だけどなぁ……そんなに嫌なんか? 天ちゃんは、かわいいけどなぁ)
褒め言葉……?
うーん。
本当に褒めているのかな?
「ペルセポネは、そんなに険しい顔をして……ふふ。あの木の実の事が気になるのね。ゼウスにそっくりでかわいいわ。じゃあ、そろそろゼウスの寝室に行きましょうか。今頃あの木の実が現れているかもしれないし」
お母様が嬉しそうに手を繋いでくれたね。
隠し部屋の光とか、色々秘密にしている事があって心苦しいよ。
でも……
「お母様……わたしは、お父様似よりお母様似って言われる方が嬉しいんだけど」
女好きで浮気ばかりして火干しされるお父様には似たくないよ。
「……え? ふふ。ペルセポネは本当にかわいいわね。そんな事を言われたら嬉しいわ」
お母様が優しく抱きしめてくれたね。
温かくて柔らかくて甘い匂い……
心が落ち着くよ。
いつもよりお母様に顔が近い。
まだまだわたしの方が小さいけど、それだけ背が伸びたっていう事かな?
それにしても、皆がわたしをお父様似って言うね。
それだけは絶対に嫌だよ……




