秘密の部屋の木の実の真実? ~前編~
ウリエルの笑顔が輝いて見えるね。
いつもの、何をやってもつまらないみたいな顔とは大違いだよ。
まあ、確かにわたしとお母様の髪色は珍しいから手に入って嬉しいんだろうけど。
室内では白っぽく見えるけど、日に当たるとキラキラ輝く水面みたいな銀色に見える髪なんて他には誰もいないからね。
ウリエルが後片付けもせずに嬉しそうに空間移動したけど……
神殿にあるウリエルの私室に髪を持って行ったんだろうな。
あんなご機嫌なウリエルは、なかなか見られないよ。
本当に幼女時代のわたしとお母様の事が大好きなんだね。
「ウリエル……行っちゃったね」
お母様に話しかけると笑顔になっている?
「ふふ。旅行と初孫の人形……楽しみだわ」
なるほど。
それでご機嫌なんだね。
まだ月のものすら来ていないのに……
初孫の人形は、かなり先になりそうだね。
今頃ウリエルは切った髪を洗っているのかな?
うぅ……
想像しただけで気持ち悪いよ。
「さて……じゃあデメテルとぺるぺるも、天ちゃんのかわいい寝顔を見に行くとするか」
吉田のおじいちゃんがコテとハサミを箱にしまいながら嬉しそうに笑っているね。
「おじいちゃんはウリエルのアシスタントみたいになっていたね」
初代の神様なんだよね?
雑用係みたいになっていたけど嫌じゃないのかな?
「ははは! かわいい孫のデメテルと、ひ孫のぺるぺるをさらにかわいくしてくれるって言うんだから、じいちゃんとして手伝うのは当然だろ?」
吉田のおじいちゃんは、ずっとご機嫌だね。
何か良い事でもあったのかな?
あ……
そうだ。
訊きたい事があったんだった。
「……ねえ。あの不思議な木の実とかって……」
「んん? ああ、ウリエルがぺるぺるに使ったうどんに似た木の実の事か?」
「……うん。あれって……」
今はお母様がいるから隠し部屋の神力の光の話はしない方がいいんだよね?
わたしの考えが正しければ、あの木の実は……
(ぺるぺるは本当に賢いなぁ)
吉田のおじいちゃんが優しく微笑みながら心に話しかけてきた?
じゃあ、やっぱりあの木の実は隠し部屋の神力の光から作り出された物なんだね。
(どうして分かったんだ?)
それは……
髪を伸ばす果物と、疲れを癒す野菜……だっけ?
わたしが使える神力と同じだからだよ。
(なるほどなぁ。それで分かったんか。いやぁ、賢い賢い……)
かなり珍しい神力みたいだし……
わたしの神力は、あの隠し部屋の神力と繋がっているから関係があると思ったの。
(本当にぺるぺるは賢いなぁ……)
でも、分からない事ばかりだよ?
どうして神力の光と同じ力が野菜とか果物になってお父様の寝室に落ちているのか……とか。
お父様が書き記した効能が合っているのも不思議だよ。




