デメテルとペルセポネ~後編~
「……うん。それは分かるよ。異世界の人間だったお父さんが魔王を辞めたすぐ後の魔王はイフリート王じゃないと務まらないはずだよ。皆から尊敬されて恐れられている存在じゃないと……」
「ベリス王は誤解されやすい性格だから……本当は子供思いの優しい父親で、傘下に入る種族を守る立派な種族王なのに、つい商売に夢中になってしまうでしょう?」
お母様はベリス王や魔族の事をよく知っているんだね。
「うん。そうなんだよね。有料のココアを無料だと思い込ませて配ったり……あれには呆れたよ。でも、お母様の言う通りだよ。お父さんが魔族の戦を終わらせて、イフリート王が魔族をひとつにまとめて、ベリス王が豊かに導く……そんな風になるのかもね」
「ふふ。ベリス王ではなくベリス王子が魔王になるかもしれないわね。ベリス王は娘さんの成長を見守る時間を大切にしているようだし」
「イフリート王が魔王をしている間にベリス王子が種族王になって、魔族が落ち着いたら魔王になる。そして入れ替わりで妹さんが種族王になる……か」
「そうなれば、魔族の生活の質はかなり向上するはずよ」
「そうだね。お父さんとイフリート王も同じ考えなのかな?」
「ふふ。きっとそうね。わたし達が思いつくくらいだもの」
「お母様……?」
「何かしら?」
「お母様は……魔族が嫌いじゃないの?」
「え? あぁ……天族は魔族を嫌っている……というよりは見下しているからかしら?」
「……うん」
「ふふ。嫌ってはいないわ。むしろ大好きよ」
「大好き?」
「ずっとずっとこの世界を見てきたの。ペルセポネの魂を入れる身体を探す為にね」
「お母様……だから神力を持つ人間を見守り続けていたんだね」
「ルゥの海賊のおばあさんや母親の事を言っているのね……」
「……うん」
「魔族は代々の聖女を大切に想っていたわ。その心を知っていたから……お母様は魔族を嫌いにはなれなかったの。誰かを大切に想う気持ちのある魔族を見下すなんてできないわ」
「お母様……」
「ふふ。ペルセポネ……不思議よね。ハデスをヴォジャノーイ族にしたのはお母様だったの。そしてルゥになったペルセポネをハデスが『じいじ』として育てた……きっと……そうなる為にヨシダさんやおばあさんが陰ながら手助けしていたはずよ」
「うん。そうだね……本人達は何も言わないけど……きっとそうだよね」
「皆が繋いでくれたこの幸せを……未来に繋げていきましょう」
「……! うん!」
お母様も同じ気持ちでいてくれたんだね。




