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デメテルとペルセポネ~前編~

「だから、結局ベリス王だけが良い思いをしているんじゃないかなって……」


 ハデスは、いつもベリス王に金貨を搾り取られてかわいそうだよ。

 でも、ハデス自身はなんとも思っていないんだよね。

『じいじ』だった頃は魔族として『人間と魔族の世界』で暮らしていたけど、元々天族でお金っていう概念が無かったからなのかな?


「うーん……それは違うんじゃないかしら?」


 お母様が優しく微笑みながら話しているけど……


「え……? 違うの?」


「ヨシダさんは子孫をとても大切に想っているでしょう? だからハデスやベリス王の事がかわいくて仕方ないのよ。ハデスはペルセポネに贈り物ができて幸せだし、ベリス王は大好きな商売をしてハデスから金塊をもらえて喜ぶでしょう? その姿を見てニコニコ笑うヨシダさん……結局皆が幸せなのよ」


「言われてみればそうだけど……」


「ふふ。ペルセポネは大好きなハデスがベリス王に騙されているみたいで嫌なのね」


「うん……そうなんだよ」


「ベリス王がハデスに売りつける物は、いつもその時必要な物だけなのよ? だから決していらない物を売りつけたりはしないでしょう?」


「あ……確かに……」


「だから、そんなに警戒しなくていいのよ。わたし達とベリス王は親戚だし。ふふ。もちろんお母様もベリス王が色々売りつけてくると心配になる事もあるけど……扱う物の品質が良くて常に買い手の喜ぶ顔を想像しながら商売をしているのは確かよ。まあ、やり方に問題はあるけど……悪い魔族ではないわね」


「うん。それはそうだね……」


「ペルセポネ……お母様は思うの。ベリス王が魔王になれば全ての魔族が幸せになれるわ」


「……! それは、わたしも思った事があるよ。ベリス王の傘下に入る種族は皆豊かに暮らしているから」


「でも、問題はあの性格よね……」


「うん。商売の為なら何でもするからね」


「次期魔王はイフリート王に決まっているけど……その次の魔王はベリス王かベリス王子になるんじゃないかしら」


「……え?」


「イフリート王には子は一人でしょう? イフリート王子はイフリート王にならないといけないの」


「あ……確かにそうだね。でも、ベリス王子は次期ベリス王だよね?」


「ベリス王には子がたくさんいるでしょう?」


「うーん……でもベリス王子以外は次期ベリス王になれそうな感じはしないけどな……」


「ふふ。いるでしょう?」


「……え? まさか……妹さん!?」


「ベリス王もベリス王子も同じ考えでいると思うわ。イフリート王は真面目過ぎるのよ。だから、魔王の座にそう長くはいられないはずよ。精神的に疲れ果ててしまうのは目に見えているわ」


「それは確かにそうだけど……」


「でも、今ベリス王かベリス王子が魔王になるのは時期尚早なのよ」


 時期尚早か。

 お母様は魔族の事をよく知っているみたいだね。

 

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