普段は死んだ魚のような目をしているウリエルがキラキラの笑顔になると嫌な予感しかしないよね
「ペルセポネ……」
ハデスが上着を羽織らせてくれた?
どうしたのかな?
寒くはないけど……
「ハデス?」
ずっと顔が赤いけど大丈夫かな?
「デメテルにドレスを借りるといい」
「……え?」
「ドレスがきつそうだ……」
「え? あ……」
確かに、ぺったんこの時とは違って胸元がきつくなっているね。
「ぷは! ハデスちゃんのエッチ!」
吉田のおじいちゃんが嬉しそうにニヤニヤしている!?
「もう! おじいちゃんは変な事を言わないの!」
ハデスは繊細な心の持ち主なんだから傷ついちゃうでしょ!
「ぷはっ! 男は皆、狼だっていう名言を知らねぇんか? やれやれ……ぺるぺるはまだまだ赤ちゃんだなぁ」
「男は皆、狼……? ウェアウルフのお兄ちゃんみたいに?」
「んん? ウェアウルフ? あはは! 確かにありゃ見た目が狼みてぇだけどなぁ。お雪ちゃんの前じゃ狼さんなんだぞ?」
……?
ウェアウルフのお兄ちゃんはいつも狼だけど……?
「ヨシダさんっ! ペルセポネに変な事を教えないでくださいっ!」
お母様が困り顔で怒り出した?
「ははは! デメテルは、かわいいなぁ」
吉田のおじいちゃんは、ずっとご機嫌だね……
「ふふふ……」
ん?
ウリエルが嬉しそうに笑っている?
「ウリエル? どうかしたの?」
「え? あぁ……実は先ほどの木の実の蜜をハデス様の飲み物にこっそり入れておいたのです」
「……!? はぁ!? そういえばさっきハデスにだけ飲み物を渡していたよね……確か、鼻から入れると滋養強壮で、口から飲むと媚薬になるんだっけ?」
「今すぐに月のものが来たとして、うーん……赤ん坊が産まれるのは……いつ頃でしょうか?」
「ウリエルっ! 得体の知れない物をハデスにまで!? 赦さないよ!」
「おや、そうですか。あ、今宵はデメテル様の宮殿ではなく違う場所でおやすみになられては?」
「はぁ!? 次は何を企んでいるの!?」
「このままデメテル様の宮殿でハデス様と過ごせばまた邪魔が入りますよ?」
「邪魔? お父様がまた覗きに来るっていう事?」
「また……とは?」
ハデスが尋ねてきたけど……
この様子だとお父様が覗き見していた事を知らないんだね。
この事がばれたらお父様の命が危ないよ……
絶対に隠し通さないと!
「確実に覗きに行くでしょうねぇ。ふふふ……ペルセポネ様……」
ウリエルがキラキラの笑顔になっている!?
「なに? そんな風に笑って……嫌な予感しかしないんだけど」
「『人間と魔族の世界』に幼女誕生の為の小さな島を創っておきました」
「……? え? よく分からないんだけど……」
幼女誕生の為の島?
それって……?
 




