自分はいいけど他人が同じ事をすると赦せない時ってあるよね
あれ?
じゃあ、ウリエルが秘密の部屋から持ち出したから……
うどんみたいな木の実が寝室に現れるんじゃない?
ずっと見張っていればその瞬間に立ち会えるかも。
「吉田のおじいちゃん! 今から奥の寝室に行って誰が木の実を置いているのか見張ろうよ」
「んん? うーん……まあ、見張ってもいいけどなぁ。なんにも分かんねぇと思うぞ?」
「え? もしかして何か知っているの?」
「そうだなぁ。とにかく今は鼻をかめ。背が伸び続けてるからなぁ」
「あ……確かに……」
こんなに大勢いる前で鼻をかむなんて恥ずかしいけど、そんな事を言っている場合じゃないからね。
……うわぁ。
かんでもかんでも蜜が出てくるよ。
「さて、じゃあ天ちゃんのかわいい寝顔でも見に行くか」
吉田のおじいちゃんは、ずっとこんな感じだね。
すごく楽しそうだよ。
っていう事は、あのうどんみたいな木の実は危ない物じゃないのかも。
ん……?
ハデスがわたしを見つめて赤くなっている?
どうしたんだろう。
「ペルセポネ……お母様のドレスを着ましょうか。かなりきつそうよ?」
お母様が心配そうに話しかけてきたけど……
確かに苦しいよ。
かなり成長したみたいだね。
でもまだ、お母様よりは小さいみたいだ。
それにしても……
うぅ……
皮膚と関節が痛いよ。
「うん……ありがとう。って……うわあぁ! やったぁ! 胸があるよっ! お母様、見て見て! ぺったんこだったのに少し膨らんでいるよっ!」
お母様よりは、かなり小さいけどさっきまでの絶壁とは大違いだよ!
「ぷはっ」
吉田のおじいちゃん!?
また、わたしの心の声を聞いたんだね!?
あ……
おばあちゃんとヘスティアも笑うのを我慢している顔だよ。
「それで……」
ん?
ウリエルがわたしを見つめながら真剣な顔をしている?
「ウリエル? どうかしたの?」
「……それで、月のものは来そうですか?」
ウリエルの頭の中はわたしに似た幼女の事でいっぱいみたいだね。
「うーん……かなり成長したから……たぶん……?」
「『たぶん』!? たぶんではなく確実に来るのかを訊いているのです!」
「……はぁ!? どの口が言っているんだろうね!? さっきまではウリエルだって『たぶん、たぶん』って言っていたでしょう!?」
「それはそれ。これはこれです!」
「はぁ!?」
そうだ……
幼女が絡んでいる時のウリエルには何を言っても無駄なんだよ。
わたしが冷静にならないと。




