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お母様はダメ男好きなんだね

「ペルセポネ……あぁ……そんなに体調が悪かったなんて」


 お母様がかなり心配しているけど……


「違うの。体調は全然悪くないの。それに、背も伸び始めているし。毎日よく寝てよく食べればすぐに月のものが来るようになるっておばあちゃんに言われたんだよ」


「そうなの……ファルズフ……もう生きてはいないのにまだペルセポネを苦しめ続けているなんて……」


「お母様……本当に大丈夫だよ。心配させてごめんなさい」


「ペルセポネは何も悪くないわ。そう……栄養と睡眠が必要なのね」


「うん。そうみたい。だから何も心配しないでね。って……あれ? ウリエルは?」


 さっきまでそこにいたのに……

 突然いなくなったよ。

 わたしが妊娠していないから、がっかりして自分の部屋に帰ったのかな?


「え? 言われてみれば確かにいなくなったわね。どこに行ったのかしら」


「そういえばお父様は? 書類の山の奥にいるにしては静かだね」


「あぁ……昨日は喜び過ぎて一睡もしていなくてね。居眠りばかりしているの。でもまだ今日の分の仕事が終わらなくて……困ったわ」


「そうなの? じゃあわたしが代わりにやろうか?」


 神様の姉兄はダメだけど、娘のわたしなら代わりに仕事ができるんだよね。


「あら、いいの? でも明日はアカデミーで魔術大会の観戦があるんじゃ……」


「大丈夫。明日で人間に関わるのが最後だと思うと眠れそうにないから」


「ペルセポネ……そう。仕事で気が紛れるのなら……じゃあ、お願いしようかしら」


「えへへ。仕事が終わればお母様も早く眠れるよね。よし! 頑張るよ」


「ふふ。頼もしいわね。じゃあ……ゼウスは奥の部屋に寝かせましょうか。このまま椅子で眠られたら邪魔だし。空間移動で運ぶからペルセポネは少し待っていてね」


 お父様は椅子で寝ていたのか。

 書類が山積みで全然見えなかったよ。 

 だから静かだったんだね。


「うん。あ……お父様……眠りながらニヤニヤしているね。良い夢でも見ているのかな?」


「ふふ。そうみたいね。ゼウスはいつまで経っても赤ん坊なのよ」


「あはは! でもお母様は、お父様のそんなところが好きなんだよね?」


「……そうなのよ。お母様はダメ男好きみたいね。ペルセポネはハデスが相手だから安心よ」


 ダメ男好きの自覚はあるんだね。

 でも、お父様を見つめる優しい瞳は遥か昔からずっと変わらないみたい。

 お母様は心からお父様を大切に想っているんだ。

 わたしもハデスをこんな風にずっとずっと想い続けたいな。

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