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ベリアルの初恋(1)

今回はベリアルが主役です。

 あれはまだ、変態ぺるみがペルセポネ様だった時の事。


 ハデスと出会う前のペルセポネ様は、神と豊穣の女神の娘として大切過ぎる程大切に育てられていた。

 いつもウサギみたいなカーバンクルを抱っこして、母親と暮らす宮殿の庭園で花を愛でていた。

 

 天界の男達は皆、ペルセポネ様に夢中だった。

 美しい見た目に、聖獣を愛でる優しい姿。

 いつも微笑んでいて、ペルセポネ様の近くにいるだけで心が温かくなった。

 と言っても……

 オレはかなり上位の天族だったが後ろ盾があるわけでもなく、以前は誰もが恐れているハデスの側付きを押し付けられていた。

 今はハデスも王として冥界にいるから、オレは天界で他の天族の嫌がる仕事をさせられている。

 

 ハデスは偉そうで厳しくて怖いけど、他の天族とは違ってオレを虐げたりはしなかった。

 冥王ハデスか……

 皆、怖がっているけど本当は優しいのかもしれないな。

 少なくとも弱い者いじめはしなかった。

 ……息をするのを忘れるくらいの鍛錬はさせられたけど。


「ファルズフ?」

「ペルセポネ様、お部屋に戻りましょう。治療のお時間です」

「……うん」

「治療を終えたら二人でお茶にしましょう。ですが、その前に……そのドレスは似合いませんね」

「え? このドレスはお父様が……」

「チッ。(趣味が悪いな)」

「あ……ファルズフ……?」

「治療後は汗をかきますので着替えましょう」

「……うん。そうね」


 ……?

 主治医が迎えに来たらしいが……

 少し離れているからよく聞こえなかったが、今あの主治医から嫌な気配がしたような……? 

 ペルセポネ様も辛そうなお顔を……

 気のせいか?

 まあ、娘を溺愛する神が選んだ主治医なら、変な奴のはずがないか。


 さて、仕事に戻るか。

 ……オレもカーバンクルみたいにペルセポネ様に撫でられてみたいな。

 って、なに考えているんだ?

 オレみたいな嫌われ者をペルセポネ様が撫でてくれるはずないだろ?

 

 はぁ……

 また汚れ仕事か……


 そんなモヤモヤした気持ちで過ごしていたある日。


「ペルセポネ……? あら? どこにいるの? 誰か!」


 ペルセポネ様の母親の叫ぶ声?

 なんだ?


「ペルセポネがいないの! 庭園にいたはずなのに!」


 え?

 ペルセポネ様がいなくなったのか? 

 だが、いつも一緒にいるカーバンクルは見た目はかわいいウサギだがかなり強いから、知らない誰かに連れ去られる事は考えられない。

 自分の意思でどこかに行った?

 それか……カーバンクルが警戒しない誰かが連れ去った?

 でも、神の娘にそんな事をするバカがいるか?

 じゃあ、やっぱり自分の意思で?

 一体どこに?

 

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