ベリアルは相変わらずスーたんに甘いよね
「メリアルお兄たん……」
ん?
第三地区の広場で皆でごちそうを食べていると、スーたんがベリアルに甘え始めた……?
「えへへ。スーたんはどうしたんだ? フォークを持って、かわいいおててが疲れちゃったか?」
相変わらずベリアルは、偽りのスーたんのかわいさに騙されているね。
ベリアル以外はスーたんがかわいく見られたくてわざと甘えん坊の振りをしている事を知っているんだよね。
まぁ、実際甘えん坊ではあるんだけど。
「スーたんね……アマリリスとハーピーちゃんとドラゴンの赤ん坊に会ってみたいよぉ」
あぁ……
わたしがアマリリス達をかわいいって言ったからどれくらいかわいいのかを確認したいんだね。
「ん? アマリリスとハーピーちゃんは、いるけどドラゴンは今ここにいないからな……ほら、アマリリスは魚族長と波打ち際で遊んでるぞ。ハーピーちゃんは、ばあちゃんの膝で漬け物を食べてるな」
「アマリリスは波打ち際……? ん? アマリリスは天族なの? 翼があるよ?」
スーたんはアマリリスが天族だって知らなかったんだね。
「ん? そうだぞ。天族は皆綺麗だけどアマリリスはその中でもかなり綺麗だな。頭も良いし」
「ふぅん……(まぁ、それなりにかわいいけどオレの方がかわいいな。あの翼……いいな。オレも翼が欲しいかも)」
「ん? 何か言ったか?」
「ううん。アマリリスはかわいいなって思ったの。ハーピーちゃんはハーピー族の赤ちゃんなんだね」
「そうだな。ぺるみの弟なんだぞ。ぺるみがルゥだった時のパパとママがオークとハーピーなんだ」
「ふぅん……」
「ハーピー族は綺麗な種族だから、ハーピーちゃんもかわいいよな。でもハデスが鍛錬してるからめちゃくちゃ強いんだ。腕を振るだけですごい風を出せるんだぞ」
「そうなの? (でもオレの方が強いよな。オレの種族は魔族最強なんだから)」
スーたん……
心の声が口から出ちゃっているから全部聞こえているよ。
「ん? スーたん? さっきから風でよく聞こえないな……」
ベリアル?
風なんて吹いていないけど……
あれ?
吉田のおじいちゃんがニヤニヤしているね。
もしかしてスーたんの素の部分をベリアルに聞かせないようにしているのかな?
わざわざ神力まで使って?
まさか『メリアルお兄たん』って呼ばれてニヤニヤしているベリアルがかわいいから、もっと見ていたい……とか?
「ねぇ、メリアルお兄たん……お兄たんは誰が一番かわいい?」
「ん? 一番? それはぺるみ……じゃなくて……えっと……スーたんとゴンザレスかな。オレの大事な弟だからな」
……?
今、わたしが一番かわいいって言ったような?
気のせいだよね。
「……スーたんが一番じゃないの?」
あ……
スーたんが驚いた顔をしている。
自分が世界一かわいいと思っているから意味が分からないんだろうね。




