ベリス王子とペルセポネ(5)
「ぺるみ様っ! 今だけ限定のヒヨコちゃんのぬいぐるみ用フワフワドレスが発売中ですよっ!」
ベリス王子!?
今なんて言ったの!?
ヒヨコちゃんのぬいぐるみ用のフワフワドレス!?
……しまった。
冷静にならないと……
「……本当に商売上手だね」
「ははは! わたしはベリス族の王太子なのですよ? 商売上手なのは当然です。ささ、あちらに赤、青、白、ピンク、黄の全五色展開のフワフワドレスがありますよっ!」
「ええっ!? 五色展開!?」
うわあぁ!
うわあぁぁ!
かわいいっ!
フワフワのドレスだ!
「ははは! ささ、どれにしますか?」
まだ買うとは言っていないのに……
でも……
「くうぅ! どの色を買うか迷っちゃうよ!」
「ははは! ぺるみ様は簡単ですねぇ」
やっぱり簡単だと思われていたんだね。
でも買わずには、いられないでしょ!?
「全部買う……という手もありますが……」
「全部!? うん! 欲しいっ! ……でも絶対高いよね。わたしは人間のお金を持っていないし……」
「大丈夫ですよ。ほんの少し商売を手伝っていただければその報酬として差し上げますから」
「ええ!? 本当!?」
「はい。本当ですよ。実は困っている事がありまして」
「ん? 何?」
「服以外の、ぬいぐるみに使える小物が欲しいと思いまして……」
「服以外に……? うーん……難しいね。パンみたいな翼だから物を持たせられないし……」
「はい。そうなのですよ」
「うーん……じゃあ考え方を変えてヒヨコちゃんとお揃いの人間用の服を作るとかはどう?」
「……! なんと! それなら小さいぬいぐるみの服よりもかなりの儲けが出るはず……素晴らしいですっ!」
「そうだ! 服のどこかにヒヨコちゃんの小さい刺繍を入れたらどうかな?」
「小さな刺繍を?」
「そう! 一目見てこのお店で買ったって分かるでしょう? 誰かが普通に着ているだけで宣伝になるんだよ」
「確かに! 刺繍のヒヨコちゃんの瞳を宝石にして……これは素晴らしい! さっそく父上と相談して……あ、ですが……それだと女性だけしか着られないですね」
「大丈夫だよ。男性にはシャツの胸とか襟とかに宝石無しの刺繍を入れればいいんだよ。もちろんジャケットに刺繍しても素敵だよね」
「なるほど! それは素晴らしいです! いやぁ……これはまた忙しくなりそうです。ははは!」
ベリス王子は嬉しそうだね。
それにしても、種族王になる為に金庫を満タンにしないといけないなんて……
やっぱりベリス族は商売を大切にしているんだね。




