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ベリス王子とペルセポネ(3)

「ふふ。王子と話しているといつも商売の話になるよね」


 いいように使われているようにも思えるけど……


「はい。ぺるみ様にはいつも商売のヒントをいただけて助かります」


 ベリス王子は満面の笑みだね。


「王子は商売が好きなんだね。すごく楽しそうだよ」


「初めは姉上の為でしたが……いつの間にか商売が好きになっていたのです。用意した商品に喜ぶお客様の顔を見ると心が温かくなって、次は何を作ろうかとワクワクするのです」


「ふふ。素敵だね」


「あ、もちろん金貨が増えるのも好きです。いつかわたし専用の金庫を金貨でいっぱいにしたいと思っています」


「王子専用の金庫!? それって大きいの?」


 嫌な予感しかしないよ……

 まだまだ搾り取られるんじゃ……


「ははは。王太子になって、父上から大きな金庫を贈られたのです。あれを満タンにするにはかなりの時間がかかりそうですよ。平民の家くらいの大きさですからね」


 平民の家くらいの大きさ?

 うーん。

 いろんな大きさがあるけど……

 たぶんかなり大きめの家だよね。


「……なるほど。だからやる気がすごいんだね」


「はい。もちろんお客様の喜ぶ顔が見たいという気持ちもありますが、自分自身が楽しみながら商売をしなければお客様に何も伝わらないと思うのです。楽しい気持ちは自然と溢れ出してくるものですから」


「ふふ。だから、わたしも王子に協力しちゃうんだよね」


「ははは。助かります」


「ところで……あそこにある売約済みのヒヨコちゃんのガラス細工って……」


「はい。ぺるみ様の物ですよ。今日ハデス様が受け取りに来る予定です。最近ハデス様は忙しかったですからねぇ。四大国の人間の王にはすでに手渡してあります」


「そっか……」


「リコリス王には……本当に明日を最後に会わないのですか?」


「……うん。お兄様にはココちゃんがいてくれるから」


「そうですか。寂しくなりますね……」


「わたしは……天族だから……これ以上人間と深く関わるのは良くないの。お父様やお母様、ヘラ達が大天使達にお願いしてくれたから人間のアカデミーに通えていたんだから。これ以上迷惑はかけられないよ」


「ぺるみ様らしいお考えですね」


「すごく楽しかった。すごくすごく楽しかったよ。永遠にこの時間を忘れない。絶対に……」


「……はい。わたしもです。人間と……ぺるみ様とイフリート王子と過ごしたこの時間を絶対に忘れません」


「王子……」


「これからも時々はこの店舗に来てください。毎月新しいベリアルグッズが発売されますから」


「本当に商売上手だね」


「ははは。ハデス様がいれば、あっという間に金庫が満タンになりそうです」


「もう! そうだと思ったよ」


「冥界での仕事は明後日からでしたか?」


「うん。でも天界からの使者の相手をするだけだから簡単なの」


「簡単……ですか? 天族は狡猾ですからねぇ。あ、もちろんぺるみ様や、そのご家族は違いますが……」


「あはは。気を遣ってくれてありがとう。ケルベロスは立場的に使者に強く言えないらしくてね。でも、わたしは神様の娘だから容赦なくやるつもりだよ」


「ははは。それは頼もしい」


「わたしは、ハデスとケルベロスが守ってきた冥界を守りたいの。だから怖い存在として頑張るつもりだよ」


 絶対に冥界をリゾート地になんてさせないんだから!

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