世界一かわいいチビモフたん?(3)
「ふふ。チビモフたんは甘えん坊なんだね」
「はあ!? 違う! オレはかわいいから、ちやほやされるのが当たり前なだけだ!」
慌てるところがかわいいよ。
素直じゃないところもかわいいし。
「ん? どうかしたのか?」
ベリアルがゆっくり飛びながら戻ってきたね。
パンみたいなかわいい翼にはマシュマロが入った袋を持っている。
「メリアルお兄たん。なんでもないよぉ」
……!?
チビモフたんが急にかわいい態度になっている!?
第三地区の皆がニコニコ笑いながら見ているね。
かわいい孫が増えたみたいで嬉しいのかな?
それとも今まで苦労してきたモフたん族がこれからは自由に暮らせるようになって嬉しいとか?
このチビモフたんはモフたん族の中で一番若いみたいだし、きっと種族の希望みたいな存在のはずだよね。
他のモフたん族の皆も心配して見守っているはず……
あれ……?
皆それぞれ違う誰かに甘えているね。
これって……?
(ぺるみ様……モフたん族はそれぞれがかなりの甘えん坊みたいですよ? 撫でられたり『かわいい』と言われるのが大好きなようです)
……チビモフたんが幼いから甘えん坊なわけじゃないんだね。
(でも、チビモフたん以外は純粋な甘えん坊みたいです)
そうなの?
(チビモフたんは『かわいい、かわいい』と甘やかされてきたから、世界中で自分が一番かわいいと思って疑わないようです。これからアマリリスやグリフォン王弟に会ったら心が折れてしまうかもしれませんね)
そんな簡単に折れるような心じゃないと思うよ?
超絶かわいいバニラちゃんとベリアルに会っているのに全然気にしていないみたいだし。
(確かに……言われてみればそうですね)
今までは島から出ずに狭い世界の中だけで暮らしてきたんだよね。
これからはたくさんの種族と出会うはずだよ。
辛い思いや苦しい思いをする事もあるだろうね。
でも、この世界は広いの。
大切な仲間や友達がきっとできるよ。
その喜びを知って欲しいんだ。
(喜び……はい。オレにも分かります。ゲイザー族もずっと息を殺して生きてきましたから。第三地区の皆さんやぺるみ様……そしてベリアル……今のオレには大切な家族がたくさんできました。この喜びをチビモフたんにも知って欲しいです)
そうだね。
ゴンザレスはチビモフたんの優しい先輩みたいだね。
(先輩……なんだかムズムズします。ゲイザー族の中では一番若いから頼られると嬉しくて……でも少し恥ずかしいんです)
ふふ。
そんなゴンザレスもかわいいよ。
(魔族は前に進み始めました。あとは人間ですね。酷い身分制度で苦しむ人間に穏やかに暮らして欲しい。ジャック達に出会ってオレは人間に対する偏見がなくなりました。人間は魔族の食糧なんかじゃない。一生懸命生きている愛しい存在なんです)
ゴンザレス……
さすが『見守る者』だね。
立派だよ。




