世界一かわいいチビモフたん? (2)
「あ! そうそう! グリフォン王の弟さんもすごくかわいかったなぁ。ぐふふ。わたしの弟のハーピーちゃんも激かわなんだけどね」
「皆、赤ん坊なのか? まぁオレの方がかわいいだろうが一応見ておくか」
チビモフたん……
自分よりもかわいい子に殴りかかったりしないよね?
まあ、このかわいいおててなら痛くはないだろうけど。
そういえば……
「チビモフたんは赤ちゃんみたいに見えるけど実際は何歳なの?」
さすがに赤ちゃんじゃないよね。
わたしより年上だったりして。
「ん? 秘密だ。オレのかわいさの前では年齢など必要ない。その辺の赤ん坊に負けるはずはないが、一応見ておくとするか。そしてオレの方がかわいい事をそいつらに思い知らせてやる!」
これだけ自信があるなら皆のかわいさに絶望する事はないよね。
「あはは! そうだね。皆違うかわいさがあるから今後のキャラ設定に役立つかもね」
でも……
この『世界一自分がかわいいと思っているキャラ』のままでもいいと思うけどな。
すごくかわいくて第三地区の皆のニヤニヤがずっと止まらないくらいだし。
「キャラ……?」
「チビモフたんがこれからどんな魔族として過ごしていくかを決めるんだよ。わたし的にはちょっぴり生意気な感じがいいけど、それだと嫌なんだよね? うーん。やっぱり守ってあげたくなるかわいさを追及したらいいかもね」
「守ってあげたくなるかわいさ!? それだ! 皆の弟……皆の庇護欲をくすぐり、ちやほやされながら暮らしていくんだ!」
「……! ちやほやされながら暮らしたい!? くぅぅ! いいねっ!」
ベリアル以上の甘えん坊だね。
ゴンザレスも言っていたけど、これ以上ないくらいかわいがりたくなるよ。
「手始めにこの第三地区にいる人間達をメロメロにして、それからこの世界中の全ての生き物をオレの虜にしてやる! オレのかわいさでこの世界を支配するんだ!」
……!?
チビモフたんのかわいさで世界を支配する!?
この真っ白で小さくてフワフワで、キラキラの瞳で、かわいい手足のチビモフたんが世界の支配者!?
この超絶かわいい子に魔族も人間も支配されるの!?
くうぅ!
支配した皆に、ちやほやされたいだけの支配者……
かわいいっ!
すごくかわいいよっ!
「いいねっ! すごくいいよっ! じゃあ、一人称はボクじゃなくて名前にしたらいいんじゃない?」
「いちにんしょう?」
「うん! 『ボク』の代わりに名前を言うの。でも魔族だから皆に名前を知られて従魔になっちゃうかな?」
「オレがその名を受け入れなければ問題ない。そうか……名か。ベリアルに任せれば良い名をつけてくれると思うか?」
「うーん……かわいいハリセンボンに『ゴンザレス』って名前をつけるくらいだからね。チビモフたんにはキラキラの名前をつけるって張り切っていたけど……」
「……大丈夫か? 変な名をつけられたら困るぞ」
「大丈夫だと思いたいけどね。ベリアルは天然だから不安もあるけど……」
「オレが、ちやほやされながら暮らしていく為にはベリアルの名づけが重要なんだ。あぁ……困ったな。オレが自分でかわいい名をつければ良かった」
「でも、かわいい名前をつけるって張り切っていたから今さら断れないよ。絶対泣いちゃうよ?」
「うぅ……オレの印象が悪くなるのは困る。はぁ……変な名をつけそうになったらぺるみがなんとかしてくれ」
「ええ!? わたしが!? 嫌だよ。ベリアルに嫌われたくないよ」
「ハデスとの逢瀬を知られたくなければ、ちゃんとやるんだ!」
「わたしを脅すなんて……やっぱり腹黒キャラにした方がいいんじゃない?」
「腹黒!? そんなのはダメだ! オレは『かわいい、かわいい』と、ちやほやされながら暮らしていきたいんだからな」
「……どうして、そんなにちやほやされたいの?」
「それは……」
「それは?」
「オレはかわいいから、皆から『かわいい、かわいい』と言われながら暮らしてきた。そして、昨日ハデスがやって来た。島に客が来る事はあまりなくて……だが、この第三地区に来て分かったんだ! オレは、やはりかわいいんだと! この島の誰よりもかわいいんだと!」
まぁ、確かにかわいいけど……
本人の口から興奮しながら言われると軽く引くよね。
「あはは……そうなんだね」
「だから、きっとこの世界の誰よりもかわいいはずなんだ! かわいいんだから、ちやほやされるのは当然だろう?」
やっぱりチビモフたんは甘えん坊なのかな?




