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世界一かわいいチビモフたん? (1)

「じゃあ、ぺるみ。教えてくれ」


 チビモフたんが尋ねてきたけど……

 何を教えて欲しいのかな?


「何か知りたい事があるの?」


「どうしたらオレはもっとかわいくなる?」


 オレ?

 さっきまではボクって言っていたよね?

 第三地区の皆が、ニコニコ笑いながらこっちを見ている。

 小声をやめて普通に話しているから全部聞こえているんだよね。

 皆、小さい子が好きだからかわいい孫が増えたみたいで嬉しいのかな?

 それにしても……

 チビモフたんは、わたしにしかこの会話が聞こえていないと思っているのか。  

 島中の皆から見られている事にも気づかないなんて……

 何かに集中すると周りが見えなくなるのかな?


「えっと……わたしの『かわいいの定義』を話してもいい?」 


「ぺるみのかわいいの定義? なんだ? それは」


「ふふふ。まず、かわいいとは……ただかわいいだけじゃダメなんだよ」


「何!? そうなのか? 従順にかわいいだけじゃダメなのか?」


「そうだよ! ほら、ベリアルはかわいいけどそれだけじゃなくて天然だし構うと慌てておもしろいでしょう?」


「……? そうなのか?」


「そうなんだよ! かわいいだけじゃすぐに飽きられちゃうの! オプションは多ければ多い方がいいんだよ!」


「オプション?」


「うーん。かわいいだけじゃなくて他にも皆を夢中にさせる何かがあった方がいいっていう事だよ」


「なるほど。じゃあオレにはどんなオプションがいい?」


「チビモフたんか……うーん。ベリアルとは違う方向性がいいよね……ベリアルはちょっぴり生意気で、怖がりだからすぐに泣いて……甘い物が好きで……この逆を行ったらどうかな?」


「逆を?」


「でも、そうなると……生意気じゃなくて、怖がりじゃなくてすぐに泣かなくて、辛い物が好き? うーん。何もおもしろくないね」


「そうなのか?」


「うーん……ギャップ萌え……これがないとね」


「ギャップ……?」


「うん! ほら、ちょっぴり怖がられている誰かが子猫をかわいがっていたらキュンとしちゃうでしょう?」


「……? そうなのか?」


「そうなんだよ! 世の中はそういうものなの!」


「ふぅん。じゃあオレはどうしたらいい?」


「うーん。チビモフたんは超絶かわいいから……逆に、話したら怖いとか?」


「それはオレのイメージが悪くなるだろ」


「そう? じゃあ……激辛大好きとか?」


「辛いのは嫌いだ」


「うーん。じゃあ……何がいいかなぁ」


「真剣に考えろ」


「うぅ……結構わがままだね」


 見た目はすごくかわいいのに……


「オレは世界一かわいいんだからこれでいいんだ」


「すごい自信だね。うーん……」


 確かにチビモフたんはかわいいけど……

 他にもかわいい子はいっぱいいるんだよね。


「なんだ? 何か思いついたか?」


「チビモフたんはアマリリスには会った?」


「アマリリス?」


「うん。チビモフたんとは違うかわいさなんだよね」


「はあ!? オレよりかわいいはずがないだろ!?」


「それとドラゴンの赤ちゃんもかわいいんだよ」


「ドラゴン? あんなのは、でかいだけでかわいくはないだろ。見た事はないけど」


 チビモフたんはずっと島にいたから他の種族を見た事がないのかな?


「いや、それがさぁ。他のドラゴンが怖くて震えているところが激かわなんだよね。あ! あと、ベリス王女もすごくかわいいんだよ? さすが綺麗なベリス族の王女様だなぁって感じだよ」


「……オレよりかわいい奴がいるはずないだろ」


 チビモフたんは自分に自信があるんだね。

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