あざといチビモフたんと、恥ずかしい秘密を守りたい神の娘
「ぺるみは、アカデミーが終わるから寂しいんだな」
……!?
確かにアカデミーの事も寂しいけど……
ベリアルを騙すみたいで申し訳ないよ。
でも……
「えっと……うん」
これでいいんだよね……
「そうだな……気持ちが不安定になるのも分かるけど、いっぱい楽しい思い出を作ろうな! これで、もう人間とは関わらなくなるから……残りの時間を元気に笑って過ごそう!」
「ベリアル……」
優しくてかわいくて立派で……
ベリアルは世界一素敵なヒヨコちゃんだよ。
「……? 何の話をしているんだ? ぺるみはハデスと子孫繁栄の儀……」
「うわあぁぁぁああ!」
モフたん!?
良い感じに終わりそうだったのに!
抱っこしているお父さんも気まずそうにしているよ。
「ん? 子孫繁栄の実がどうかしたのか? ぺるみは、また叫んで……大丈夫か?」
ベリアルが優し過ぎて申し訳なくなるけど、このままだとモフたんが全部話しちゃいそうで怖いよ。
一旦モフたんの口封じをしないと。
(ぺるみ様……口封じだと息の根を止める感じがしますけど)
ゴンザレス!?
確かにそうだね。
どうしよう……
どうしよう……
(かなり追い詰められていますね。でも真の敵は別にいるものですよ)
……え?
それって?
「メリアル……『子孫繁栄の実』じゃなくて『子孫繁栄の儀』だよ? 偉い? ねぇ、ボク偉い? 賢い?」
チビモフたんが褒めて欲しそうにしている!?
子犬みたいにかわいいよっ!
「ん? あはは! かわいいなぁ。まだ小さいから、ちゃんと話せないんだな。子孫繁栄の『実』なのに……かわいいから、前にじいちゃんからもらったマシュマロをあげるからな。部屋から持ってくるから待ってるんだぞ?」
ベリアルが部屋まで飛んで行ったね。
パンみたいなかわいい翼だけ空間移動してマシュマロを取ればいいのに……
何かありそうだね。
うーん。
一人じゃないと部屋でできない事?
なるほど。
ベットの下にある、ちょっぴりエッチな本をどこかに隠すつもりだね。
あの部屋は大所帯になりそうだし誰にも見つからない場所に移動させるのかな?
ぐふふ。
見たい……
こっそり覗き見したいよ。
でも今は……
「……モフたん……チビモフたんも! ベリアルにハデスとの事をばらしたら赦さないからね!」
「……ん? そうなのか? まぁ、かわいいぺるみが言うのならそうしてやろう」
モフたん……
信じていいんだよね?
でも、すでにお父さんに話しちゃっているよね?
「……ボク難しくて分からなぁい」
チビモフたん……
さっきはゴンザレスに『優しく見守ってあげよう』なんて言ったけど、いつベリアルが戻ってくるか分からない状況でそのあざとかわいさに付き合っている暇はないんだよ!
「(チビモフたん……悪いけど……わたしは騙されないよ)」
一応小声で話した方がいいよね?
たぶん近くにいる皆には聞こえているけど……
「……? ボク分からなぁい」
キラキラの瞳がかわいくて、ごまかされそうになるけど……
しっかりして!
わたし!
「(チビモフたんのかわいさは作られたものだよね!? わたしは知っているんだからね!)」
「(……!? くそ……上手くやれていると思ったのに……)」
チビモフたんも小声になったね。
声もほんの少しだけ低くなったよ。
「(ベリアルに、ハデスとの事を黙っていればわたしも皆に話さないであげるよ)」
卑怯かもしれないけど……
ベリアルにだけは秘密にしないといけないんだよ。
「(……仕方ない。甘んじて受け入れよう)」
「(ふふ。契約成立だね)」
第三地区にいる皆が今の会話を聞いて笑っているね。
チビモフたんはそれに気づいていないみたいだ。
本当は、ベリアル以外はチビモフたんが作られたかわいさだっていう事を気づいているんだけど……
かわいそうだから、それは黙っていてあげよう。




