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ベリアルにだけは知られたくないんだよ!

「お父さん……聞いたんだね……」


 訊くのは怖いけど先延ばしにしたらもっと気まずいからね。


「モフたんが第三地区が大騒ぎだったって教えてくれて……」


 モフたんが!?

 そういえばベリアルとゴンザレスだけは寝ていて聞いていなかったって言っていたような。

 じゃあ、ベリアルと一緒にベットにいたけどモフたん達は知っていたんだね。

 まさか、モフたんから漏れるとは……

 油断したよ。


「そ……そっか……」


 気まずいったらないよ。

 これ以上気まずい事がこの世の中にあるのかってくらい気まずいよ。


「……えっと……ぺるみ……ハデスは?」


「……寝ているよ」


「そう……」


「「……」」


 話が続かないよ。

 気まずい……

 気まず過ぎるよ。

 もう!

 お父様が夜中に騒ぐからこんな事になったんだよ!?


「どうしたんだ? ぺるみも魔王もケンカでもしたのか?」


 ベリアルがつぶらな瞳をウルウルさせながら尋ねてきた!?

 言えない……

 絶対に知られるわけにはいかないんだよ!

 

「してない! ケンカなんかするはずないよ! ね? お父さん!」


「え? あ……うん。ボクとぺるみはケンカなんてしないよ」


「そうか? なら良いけど……ところで、ばあちゃん。なんで朝からセキハンなんだ? 確かお祝いの時に食べるやつだよな?」


 ベリアル!?

 普段は何も考えずにモグモグ食べているのにどうして今日に限って訊いてくるの!?


「んん? そりゃあ……あぁ……そうだなぁ。お祝い……だからだなぁ」


 おばあちゃんが言葉を濁してくれたね。

 よし、このままこの質問は終わりに……


「なんのお祝いだ?」


 食いついてきた!?

 ベリアル……

 なんとかしてごまかさないと!


「なんだ? ベリアルは知らなかったのか。ぺるみはハデスと……」


「うわあぁぁぁぁあああ! モフたんっ!」


 そんなかわいい容姿でなんて事を!

 大声で叫んだから阻止できたよね?


「……ん? なんだ? 聞こえなかったぞ? ぺるみはいきなり叫んでどうしたんだ?」


 ベリアルが驚いて尋ねてきたけど……


「え? あ、喉の調子が悪くて……」


 上手くごまかせたかな?

 あれ?

 そういえばお母様も同じ事を何度もしていたような……

 こんなに気まずい思いをさせていたんだね。


「喉が痛いのか? 大丈夫か?」


 うぅ……

 ベリアルが心配してくれている。

 申し訳なくなってくるよ。


「あ……叫んだら治ったみたい」


 これもお母様が言っていたね。

 やっぱり親子だ。

 やる事が同じだよ。


「……ぺるみは、さっきから変だぞ? ずっとオレを睨んでいるし、いきなり叫び出すし」


 ……!?

 わたし……ベリアルを睨んでいたの?

 全然気づかなかったよ。


「えっと……えっと……」


 言い訳が見つからないよ。


「……そうか。分かったぞ」


「ええ!? 何が!?」


 まさかハデスとの事!?


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