女友達が六歳年をごまかしていた事実に驚愕する
「ペリドット様、護衛をつけている事はアンジェリカとココ様には秘密にしていただけませんか?」
公爵が真剣な顔で話しかけてくる。
ココちゃんは海賊の仲間に魔族がいたから怖くないだろうけど、やっぱりアンジェリカちゃんは怖がるかな?
「安心して暮らしてもらう為に話そうと思ったの。でも秘密にした方がいいっていうのも正しいと思うよ?」
「ありがとうございます。アンジェリカにもココ様にも、魔族は怖い存在のはずです。アンジェリカは公女として育ちましたし、ココ様は病弱でベットで過ごす事が多くアカデミーの入学も二年遅れたほどです」
ん?
アカデミーの普通科は十三歳からの二年間だったはず。
この世界の貴族の結婚は早いから卒業後にすぐ結婚する事が多いみたい。
普通科は将来的な繋がりを持つ為に、王族や貴族が通っているらしい。
ちなみに普通科は他国からであっても、王族か貴族であれば入学金を払えば誰でも通えるんだって。
魔術科、神官科、騎士科、学術科の人達はもっと幼い頃から師匠とか学校的な所で勉強や鍛錬をしていて、そこから推薦された一部の優秀な人達だけがアカデミーに入学できるみたい。
普通科以外は十三歳から十七歳までの四年間、アカデミーで学べるらしい。
普通科には貴族とか他国の王族とかしかいないけど、それ以外の科には少数だけど平民もいるらしい。
実力がある人達を身分に関係なく育てたいからって、お兄様の代からそうなったらしいね。
お兄様が王になったのは、つい最近だから元々アカデミーにいた貴族は平民の入学を良く思わないんじゃないかな?
貴族と平民は仲良く勉強できているのかな?
それにしても……
ココちゃんって今、二十二歳とか二十三歳くらいじゃなかった?
ルゥとは八歳差じゃなかったかな?
六歳くらいサバをよんでいるよね?
しかも病弱でベットで過ごしていた!?
海賊の島で船長の娘として活発に過ごしていたよね!?
すごいよ。
わたしの『魔素で閉ざされていた小国の王女』っていう設定もかなりの大嘘だけどね。
でもココちゃんは童顔でかわいいから六歳くらいの嘘なら全然平気だね。
「……そうだね。じゃあ黙っていようかな? でも、シャムロックのおばあ様には話しておきたいの。今日これから会いに行くつもりなんだけど……アンジェリカちゃんは何時に帰宅予定かな?」
ヴォジャノーイ族のおじちゃんが、おばあ様がタウンハウスに滞在しているって調べてくれたんだよね。
今、行ったらアンジェリカちゃんと会っちゃいそうだし。
アンジェリカちゃんには、今日わたしがルゥだって話そうとしたけど、魔族が護衛する事も話せなくなったし。
とりあえず、アカデミーに入ってからココちゃんとアンジェリカちゃんには会う事にしよう。
少しでも今後の進め方の予定が変わったらハデスに話す事になっているからね。
今の時点でも公爵に話したから予定が変わっちゃっているし。
今は、おばあ様だけに会う事にしよう。
「アンジェリカは、あと一時間ほどでシャムロックのタウンハウスを出るでしょう」
「そう。じゃあそれまで買い物でもしていようかな? 人間の国なんてなかなか来られないから皆にお土産を頼まれているの」
吉田のおじいちゃんが付いてきたがるのをごまかす為に『お土産を買ってくるから』って約束したんだよね。