恥ずかしいからもうやめて! ~後編~
「昨日は天界に泊まる日なのに帰らなかったから、お父様が心配して見に来てくれたんだね」
申し訳ない事をしちゃったよ。
「それで昨日の夜中に『いやったあ! ついに孫が生まれるよぉ』って大騒ぎしてなぁ」
……大騒ぎ?
おばあちゃんが、すごく楽しそうに教えてくれているけど……
ん……?
「……え? ……今、何て言ったの? お父様が何をしたって?」
ちょっと待って?
嫌な予感が……
「第三地区に来て『ねぇねぇ聞いてよぉ』って一軒ずつ回って嬉しそうに話してたぞ」
「……っ! はあ!? じゃあ……まさか……皆……知って……」
「ぐっすり寝てたベリアルとゴンザレス以外は皆知ってるぞ? ちなみに雪あん姉達には赤飯を炊いてる理由を訊かれたから、ばあちゃんが教えたんだ。いやぁ……めでたいなぁ。ついにぺるみも大人の仲間入りかぁ」
「赤飯……赤飯!? うわあぁ! 恥ずかしいよぉ! やめてよ!」
「ははは! めでたい時は赤飯だろ!」
「おばあちゃん!? おもしろがっているよね!?」
「いやぁ……めでたいなぁ。あの奥手のハデスちゃんがなぁ。よく頑張ったなぁ」
「うわあぁ! やめてよ!」
……今、気づいたけど第三地区の皆がニヤニヤしながらわたしを見ている!?
恥ずかしいっ!
「ほれ、もう赤飯が炊き終わるぞ。ぺるみは、ごま塩たっぷりかけるんだよなぁ?」
「今はごま塩どころじゃなああああいっ!」
これは恥ずかし過ぎるよ……
そうだ!
時を戻して忘れさせよう!
「ぺるみ……そんな力の使い方はダメだぞ」
おばあちゃん!?
わたしの心の声を聞いたんだね。
すごく怖い顔だよ。
「だってぇ……」
「『だって』じゃねぇぞ。ダメなもんはダメだ!」
うぅ……
かなり怒っているよ。
どうしよう。
このままじゃベリアル達が起きてきたら『なんで朝から赤飯なんだ? 』とか訊いてきて『そりゃ、ぺるみが大人になったからだ』なんてやり取りが始まっちゃうよ!
それだけは阻止しないと!
もう!
お父様!
永遠に恨んでやるからねっ!
……でも、天界で見た赤ちゃんの授かり方の紙に描いてあった事をしたんだから、わたしのお腹にはもう赤ちゃんが入っているのかな?
だとしたら、わたしは……
ママになるんだ!
うわあぁ!
「ぺるみ……ちょっといいか?」
ん?
おばあちゃん?
まさか、まだ怒っているのかな?
「もうずるい事は考えていないよ?」
「そうじゃなくて……ぺるみはペルセポネの身体に戻ってから月のものは、きてるんか?」
「……え? あ、そういえば……一度も無いかも」
「たぶんだけどなぁ……ファルズフに飲まされてた毒のせいでペルセポネは月のものがなかったはずなんだ」
「……そうなの?」
「ペルセポネの身体は他の天族よりかなり小さいしなぁ。まぁ、毒を飲まなくなったから少しずつ背も伸びてきたし……そのうち月のものも始まるだろう」
「……? でも、どうして今その話を?」
「あぁ……知らねぇんか? 月のものがくるようにならねぇと赤ちゃんは授からねぇんだぞ?」
「え? そうなの?」
「焦ると良くねぇからなぁ。毒も身体から完全に抜けたし、そのうちくるだろう」
「……うん」
じゃあ、まだわたしのお腹には赤ちゃんはいないんだね。




