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友達のおじいちゃん、結構好きかも

「わたしのせいで誰かが処刑されるなんて嫌だからね。あの時、あの場にいた人間は皆職務を全うしようとしていただけだから」


 あの時はハーピーちゃんに怖い事(人間を痛くアレする方法)を教えたりしたから、わたしも悪いんだよね。

 

「……処刑には反対ですかな?」


 公爵は処刑肯定派みたいだね。


「うーん。わたしは魔族の中で育ったからね。処刑に反対ではないかな。でも、きちんとした理由もなく処刑とかはダメだよ? 無実なのに処刑されるなんて絶対にダメでしょう?」


「そうですか。……ペリドット様は闇の力をご存知ですか?」


 公爵も牢獄の不審死に闇の力が関わっていた事を知っているのかな?


「闇の力は危険だよ? 魔族に言われたの。闇の力は使ってはいけないって」


 じいじだった時のハデスに言われたんだよね。

 闇の精霊と契約はするけど力を使ってはいけないって。

 一瞬の心の揺らぎでも身を滅ぼす事になるからって言っていたよね。


「人間にも神力を持つ者がいます。だとしたら闇の力を持つ者もいるはずです。ですが、人間が闇の力を使ったという記録は残されていません」


 なるほど。

 記録が無いのか。

 だから公爵は牢獄で不審死させた犯人が人間なのかを疑っている?

 でも、魔族がやったとは思っていないみたいだね。

 人間がやったはずだけど、過去に人間が闇の力を使った記録が無いから不安で仕方ないとか?

 犯人がどれ程の闇の力を使えるのか、検討もつかないから不安になるのも分かるけどね。


「公爵……アンジェリカちゃんのおじい様であり、シャムロックの祖父母の恩人だから特別に教えてあげるね?」


「特別に? ですか?」


 闇の力の事は少しなら教えてもいいって言われているんだよね。


「うん。闇の力の記録が無いって言ったよね? それはたぶん、闇の精霊を呼び出す事も難しいけど、呼び出せたとしても、その人間がすぐに亡くなっていたからだと思うよ?」


「すぐに亡くなる? なぜですか?」


「うーん。詳しい事は分からないけど、精霊の闇の強さに人間の心も身体も簡単にダメにされるらしいんだ。生まれながらに闇の力を持っている人間がいたとしても同じじゃないかな? 闇の力に人間は耐えられないんだよ」


「なるほど。ではペリドット様は、人間には闇の力を使い誰かの命を奪う事はできないと思われますか?」


 牢獄での不審死の事をわたしが知らないと思っているんだね。

 適当にごまかしておこうかな?


「それは分からないね。生きていれば想像もできない事が起こるものだから」


「……確かにその通りですね」


「公爵は……アンジェリカちゃんを守りたい?」


「もちろんです。わたしはあの時、女神様に正しく生きろと言われてから清く正しく生きてきました。孫に対してもそうです。心から愛しています」


 ん?

 清く正しく?

 領地の事とかは、かなり怪しいけどね。

 でもアンジェリカちゃんを愛しているのは本当らしいね。


「そっか。公爵は闇の力を使う『誰か』が怖くない?」


「正直、未知の領域ですから恐ろしいです。ですが、アンジェリカを想う気持ちの方が大きいのです」


 この言葉に嘘はなさそうだね。

 当分は腹の探り合いになりそうだけど、わたし……公爵の事結構好きかも。

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