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ベリアルと砂浜で~前編~

 クラスメイトを無人島からアカデミーに送り、第三地区に帰るとすっかり暗くなっている。

 

 わたし達が無事に帰ってきた姿を見て安心したおじいちゃん、おばあちゃん達はそれぞれの家に帰っていった。

 いつも、もっと早く眠るのに夜ふかしをさせて申し訳なかったよ。


 一人で第三地区の砂浜に座っていると、赤青クラゲが海中で赤と青に交互に光っているのが見える。

 お父さんがこの世界に来てから創り出したクラゲ……か。

 海が安全な時は青く光って、危険な時には赤く光るんだよね。

 でも、今はもう魔族の戦は終わったから青と赤の交互に光っているらしい。


「はぁ……あと二日でアカデミーが終わるのか」


 キラキラ光る星空を見上げて呟く。

 

 寂しいな……

 仲良くなれたクラスメイトや露店商市場の皆……

 おばあ様とお兄様とも会えなくなるんだね。


「そうだな。あっという間だったな。でも、アカデミー自体は明日で終わりだろ? 明後日は『四大国のアカデミー魔術科対抗魔術戦』の観戦か」


 ベリアルがパンみたいなかわいい翼に、プリンを持って歩いてくる。


「うん。寂しくなるけど……楽しい思い出をいっぱい作ろうね」


「ほら、ばあちゃんがぺるみとひとつずつ食べろってプリンをくれたんだ。いつもは一日ひとつだけど今日は特別にふたつ食べていいって。えへへ。嬉しいなぁ。いただきます! うまぁぁぁい! 明日のアカデミーは午前終わりなんだよな?」


 ベリアルがおいしそうにプリンを食べながら話しかけてきたね。


「明日はアカデミー終わりにベリス親子のカフェを貸し切りにして桃のケーキを食べるんだよね。いただきます……おいしい! おばあちゃんの作るプリンは最高だよ」


「えへへ。楽しみだなぁ。明日は先生と学長も来るんだよな?」


「うん。今日は来られなかったから明日は絶対に来るって言っていたよ」


「学長も先生もすごく良い人間だったな」


「そうだね。……色々あったよね。皆でプリンアラモードを作ったり、爆弾を探したり、スウィートちゃんとも友達になれて……嬉しかったなぁ」


「スウィートか……前にもらったお菓子は旨かったな。元気にしてるかな?」


「ふふ。ベリアルは簡単に餌付けされちゃうんだから」


「……本当は……もっと皆と一緒にいたいんだろ?」


「それは無理だよ。わたしは人間とは違うんだから」 


 わたしは天族だからある程度まで成長したら、そこからは身体が老いないんだ。

 皆がおじいちゃんやおばあちゃんになっても……

 亡くなっても……

 わたしは若いまま生き続けるんだ。


「だったら、卒業までは、いられるだろう? 我慢しなくていいんじゃないか?」


「……わたしは……人間じゃないから」


「ぺるみ……まだ苦しんでたんだな。大丈夫か?」


「心配してくれてありがとう。でも……わたしは……今を頑張って生きているジャック達や露店商市場の皆の子孫がどうなっていくかを見守るって決めたの」


「そうか……そうだな」


 わたしは見守る者なんだから……

 辛くてもこの世界を見守り続けるんだよ。

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