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それぞれのやり方で

「だって家族と引き離すなんてかわいそうだろ? 会いたくなったら、オレがカブトガニに会いに来ればいいんだからな」


 なんてしっかりしたヒヨコちゃんなの!?

 かわい過ぎるよ!


「ふふ。そうだね」


「オレはこの世界を見守るって決めたんだから、皆に優しくしないとな!」


 得意気なヒヨコちゃんも超絶かわいいよ!


「この世界を見守る……ですか?」 


 前の席のジャックがアイスクリームを食べながらベリアルに尋ねているね。


「そうだ! えっと……オレは神様のペットの聖獣だから皆を優しく見守るんだ!」


 おお!

 ベリアルは『神様のペット』っていう設定になっているから、それに合わせて話している。

 偉過ぎるよ!


「うわあぁ! 素敵です! すごいです!」


 ジャックが瞳をキラキラ輝かせながらベリアルを褒めているね。

 ベリアルは褒められて照れているよ。

 くうぅ!

 かわい過ぎるっ!


「そうだ! ジャックも皆も聞いてくれ! 皆も嫌な事をされたら傷つくみたいに、世界も苦しいんだ。だから、皆も世界の嫌がる事をしないで欲しいんだ」


 あぁ……

『ピオ』とか言っていたヒヨコちゃんが……立派になったね。

 

「世界が嫌がる事……? えっと……それは何ですか?」


 ジャックが尋ねているけど……

 確かに分かりにくいよね。

 

「うーん。戦をしないとか、必要以上に生き物を捕まえたり木を伐らないとか……自分達が豊かに暮らす為に他の誰かを犠牲にしないって事だな」


「なるほど! はい! 絶対に戦はしないし、必要最低限の物を大切に使っていきます!」

「確かにヒヨコ様の言う通りですね」 

「世界が苦しむなんて考えた事もなかったけど……その通りです」


 クラスの皆は優しいね。

『世界に感情なんかない』って笑われるかもと思ったのに……


 ベリアルも話を聞いてもらえて嬉しそうに笑っているよ。

 

 立派だなぁ。

 ベリアルは、この世界を見守る者として一歩を踏み出したんだ。

 わたしも……

 わたしなりのやり方でこの世界を見守りたいけど……

 どんな風に何をしたらいいんだろう?


 ……?

 あれ?

 かなり大きいカブトガニがわたしのところにゆっくり歩いてきた?


(ぺるみ様……どうやらそのカブトガニはウラノス様が創り出した『初めからいた者』みたいですね)


 え?

 ゴンザレス……

 そうなの?


(ぺるみ様に会えてすごく嬉しそうです)


 ……!

 わたしがオケアノスだったって分かるのかな?


(そうみたいです。ベリアルの頭に登っていたカブトガニが知らせに行ったみたいですよ)


 わたし……

 決めたよ。


(え?)


 初めからいた皆に会いに行ってみる!


(……かなり減ったはずですよ? もう何千年も前の事ですから。その現実を見て傷つきませんか?)


 うん。

 分かっているよ。

 でも、『オケアノスを愛してくれてありがとう』ってお礼を言いたいの。

 オケアノスだったわたしの魂が幸せに暮らしている事を伝えたいの。


 少し前には深海魚に会えて、今回はカブトガニに会えたの。

 まだたくさん生き残っているかもしれないよ。

 

(ぺるみ様……そうですね。それがぺるみ様の第一歩なんですね)


 ……わたしの第一歩?


 うん!

 そうだね!

 これがわたしなりのやり方なんだね。

 過去に感謝しながら前に進むの。

 オケアノスだったわたしだからできる事だよね。


(はい! ぺるみ様らしい優しいやり方です)


 ゴンザレスが嬉しそうに笑っている。


 オケアノスを愛してくれた皆にお礼を言いながらこの世界を見守る。

 

 やっと見つけられたよ。

 わたしらしいやり方を……

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