見守る者(8)
「……よーし! 魚を焼くぞ!」
人間達の時間が進み始めるとジャックが嬉しそうに話し始める。
少し長めに時が止まっていたけど、違和感は無いみたいだ。
「あはは。ジャックは楽しそうだね」
さっきまで、この島に魔王と種族王がいたなんて考えもしないだろうね。
「はい! おいしく焼いてペリドット様達に食べてもらいたいから」
「ジャック……」
本当に良い子だよ。
「って……あれ!? パール殿下!?」
「パール殿下あぁぁ!」
「会いたかったですぅ!」
クラスのおとなしい男の子達が人化したグリフォン王を見つけて嬉しそうにしている。
グリフォン王はさっきのホットチョコレートの代金をどう返そうかでずっとオロオロしているけど……
今日は種族王の立場を忘れて遊んでいったらどうかってお父さんが人化してくれたんだよね。
「パール殿下……王太子教育で国に帰ってから寂しかったですよぉ」
「殿下、魚を一緒に食べませんか?」
「あ、骨を飲み込んだら大変だからオレがほぐしてあげますね」
「じゃあ、オレは食べさせてあげます!」
相変わらず、すごく甘やかすんだね。
まぁ、ホットチョコレートの支払いの事で涙目になっている人化したグリフォン王はいつも以上に庇護欲をくすぐるからね。
「ぺるみ、色々持ってきたぞ」
おばあちゃんがバニラちゃんと一緒に空間移動してきたね。
溢れそうなくらい食べ物を詰め込んだカゴを持ってきてくれたんだ。
「うわあぁ! ありがとう。野菜と果物がいっぱいだね。あ、プリンもあるよ」
「ははは。いっぱい食べろ。アイスクリームもあるからなぁ」
「うん! ……おばあちゃん?」
「ん? どうかしたんか?」
「ありがとう」
「ん?」
「わたし達を信じてくれて、本当にありがとう」
「『見守る者になる』っていうぺるみ達の気持ちが本物だって事を知ってたからなぁ」
「えへへ。信じてもらえるって嬉しいね」
「そうだなぁ。ばあちゃんも、ぺるみに信じてもらえて嬉しかったからなぁ。その気持ちはよく分かるんだ」
「……うん」
「そろそろ……代替わりの時期なのかもしれねぇなぁ」
「代替わり?」
「『初めからいた者』はもう何千年もこの世界を見守ってきたからなぁ。正直疲れ果ててるはずだ。もちろん、喜びもあるだろうけどなぁ。そろそろ、自分の幸せを考えてもいいんじゃねぇかと思うんだ」
「……そうだね。次はわたし達の世代がこの世界を守っていくんだね」
「ぺるみならできるさ。この世界を愛しているからなぁ」
「うん! その気持ちは誰にも負けないよ!」
「ははは。そうだなぁ。ここは、オケアノスの為に創られた世界だからなぁ」
「うん。わたしの中にいるオケアノスも同じ気持ちだよ」
「そうか、そうか」
「不思議だね。人間と魔族と天族が一緒にバーベキューをしているなんて……」
「そうだなぁ。昔なら考えられねぇ事だなぁ。次期種族王と神の娘と人間が一緒にいるなんて……世界はかなり変わったんだなぁ」
「食べる者、食べられる者。虐げる者、虐げられる者。確かに色んな立場ではあるけど、友達だから」
「友達……か」
おばあちゃんが優しい瞳でわたしを見つめながら呟いたね。
「ふふ。素敵ね」
バニラちゃんも嬉しそうに笑っている。




