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見守る者(7)

「はあ!? やっぱりこうなったよ! しかも金貨十枚って……あれ? 他の皆は怒らないの?」


 あ、なるほど。

 イフリート親子とヴォジャノーイ王はベリス族と普段から親しくしているからこうなる事が分かっていて、ホットチョコレートを飲まなかったんだ。

 なかなか賢いね。

 今日初めて会った魔族達はヘスティアに夢中になって聞こえていないみたいだ。

 

「ゴクゴク……プハッ! おかわりっ!」

「おいしいね。ベリアル」

 

 ええ!?

 ベリアルとゴンザレスがあり得ないくらいおかわりしているんだけど!?

 それぞれ五杯以上は飲んでいるよ!?

 恐ろしい……

 一体いくら搾り取るつもりなの? 


「ははは。ベリアルとゴンザレスはかわいいですねぇ」


 ベリス王がこれ以上ないくらいニヤニヤしているよ!?

 まだまだ稼ぐつもりだ!


「ゴクゴク……疲れたから甘い物が旨いんだ!」

「うん。おいしい!」


 ああ……

 ベリス王がチョコレートの箱を出してきたね。

 

「もう! ベリアルもゴンザレスもお金はあるの?」


 ダメだ。

 チョコレートに夢中で全然聞いていないよ。


「ペルセポネ……大丈夫だ。ベリアル達の分はわたしが支払うからな。それより……手は大丈夫か?」


 ハデスがわたしの手を握りながら心配そうにしている。


「おばあちゃんが治してくれたし……それに、もうそんな顔をしないで? わたしが決めてわたしがやった事なんだから。ハデスのせいじゃないよ」


「ペルセポネ……」


「ハデスはあの魔族達が優しいって知って、戦を回避したかったんだね」


「ああ。それを知ったのは最近でな……人間に魔素入りの小瓶を渡した魔族には話さえ聞いてもらえなかった」


「……そう」


「結界に閉じ込めたりして……すまなかった。『人間』と『天族』と『魔族』を極限状態にしたらどうなるかを見たいとあの魔族達に言われて……だが、わたしやヨシダさん、そして魔王様も……ペルセポネ達なら絶対に上手く解決できると信じていたのだ」


「信じてくれてありがとう」


「ペルセポネ……」


「えへへ。少しは『見守る者』に近づけたかな?」


「ああ。立派だったぞ」


 ハデスがやっと微笑んでくれたね。

 この笑顔……すごく落ち着くよ。


「ハデス……大好きだよ?」


「……わたしもだ。ペルセポネ……」


 ハデスの顔が近づいてくる。

 久しぶりだな。

 いつもうさちゃんが邪魔してくるから…… 

 柔らかい……

 ハデスの唇……


 ん?

 モフモフしている?


「マッタク、ユダンモ、スキモナイ」 


 うさちゃん!?

 いつの間にか、わたしとハデスの唇の間にうさちゃんの前足が!?

 さっきまでいなかったよね?


「また邪魔を……勝負だ!」


 ああ。

 ハデス……

 またアレをやるんだね。


「ノゾムトコロダ! キョウコソ、オレガ、カワイイ、カイガラヲ、ミツケル!」


 はぁ……

 また貝殻拾いが始まったね。


 ん?

 うわあ……

 グリフォン王がホットチョコレートの代金をどう支払うかでオロオロしているよ。

 相変わらず、かわいいね。



 はあ……

 それにしても、人間の皆は時が止まったままだからいいけど……

 この島の中はなんだかよく分からない事になっているね。

 

 魔王と種族王達がいて、天族もいて……

 ハデスとうさちゃんは貝殻拾いをしているし……


 でも……

 すごく賑やかで楽しいよ!


 うーん……

 人間に魔素入りの小瓶を渡した魔族は話すら聞いてくれなかったんだよね?

 なんとかして話し合いができないかな?

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