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見守る者(6)

「ん? そうか、なるほど、なるほど。でも全く同じだと区別がつかねぇからなぁ。じゃあ……こんな感じにするか」


 おお!

 さすが吉田のおじいちゃんだよ。

 下半身だけの魔族に上半身が創られたね。

 確かになんとなくベリス王に似ているけど……

 もう少し身体の線がしっかりしているかな?

 顔つきも凛々しいし。

 ベリス族はかなり細いから、このくらいの方が健康的に見えるかも。

 ……って。

 うわあぁ!

 全裸だ!

 全裸!

 なるほど……

 吉田のおじいちゃんについているアレとは少し違……


「……ぺるみ。あんまりじっくり見るな……」


 おばあちゃんが呆れながら怒っている!?

 しまった。

 心を聞かれたんだ!

 気をつけないと……


「……オレに腕がある? 全身を見たい! どうなったんだ!?」


 下半身だけじゃなくなった魔族がかなり興奮しているね。


「では、今だけ定価の三割引で……こちらの姿見を!」


 ベリス王!?

 全身が映る鏡をどこから出したの!?

 って……

 ヘスティアが笑いながらこの様子を見ている?

 なんだ。

 ヘスティアが空間移動で持ってきたのか。

 楽しそうだ……

 遥か昔の天界では、いつも優しく微笑んでいて、あんな風に声を出して笑う姿なんて見た事がなかったけど。

 あれがヘスティアの本当の姿なんだね。

 

 ん?

 魔族の皆がヘスティアに見とれている?

 確かに、すごく綺麗だからね。

 でも、見とれているのは今日初めて会った魔族だけみたいだ。

 他の魔族はヘスティアが笑いながら火干しする事を知っているから刺激しないようにしているんだよね。


「これが……オレ?」


 下半身だけじゃなくなった魔族が自分の姿を鏡で見て驚いている。

 鏡を買わされたのかな?

 でも、お金を持っているのかな?

 魔族にはお金自体存在しないから、ベリス族は人間のお金を使っているんだよ。

 

「よし。じゃあ、他の奴らも姿を変えに行くか」


 吉田のおじいちゃんがそう言うと下半身だけだった魔族と空間移動したね。

 怒りは完全に収まったみたいだ。


「いやぁ、良かった、良かった」


 ん?

 ベリス王が嬉しそうに笑っている?


「どうかしたの?」


「ああ、はい。彼はお金を持っていなかったので労働力を対価にしてくれました。どんな働きぶりか今から楽しみです」


「うわあ……一体何をさせるつもりなの?」


「ははは。その種族の持つ能力を最大限に引き出すのがわたしの役目ですから。彼にどんな能力があるのかはこれからゆっくり……あ、そうでした。皆さん、そのホットチョコレートですが……出張料金も合わせまして今回は大特価! 一杯金貨十枚となっております」


 ベリス王!?

 大特価って……

 あぁ……

 飲まなくて良かった。

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