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見守る者(1)

「では、話そう。オレが人間にシリシリフリフリマダラスと呼ばれるようになった経緯を……」


 お尻ちゃんが話し始めたけど……

 どの部分で話しているのかな?

 目はどこにあるんだろう。 

 見えているんだよね?


 って……

 ダメダメ。

 話をちゃんと聞かないと。

 

 それにしても、この感じ……

 長くなりそうだね。


「あれは遥か昔。オレが、たまたま人間の国に散歩に行った時だった。たまたま戦をしていたその国にいた敵兵が、たまたまオレを見て逃げ出したんだ。それからなぜかオレはシリシリフリフリマダラスと呼ばれ国旗となった」


 あれ?

 思ったより短かかったね。

 たまたまが多いけど……

 なんだか嘘をついている感じがするよ。


(……はい。嘘ばかりですよ)


 ん?

 ゴンザレス?

 魔力が戻ったの?


(はい。王子達の魔力も戻ったようです。ほら、種族王や魔王様もいますよ。結界の外から中の様子を見ていたようです)


 そうなの?

 あ……

 王子達がそれぞれの父親と話しているね。

 ハデスとお父さんはうつむいて辛そうな顔をしている?


(ハデス様がかなり苦しんでいます。あの膜は魔族が張った物ではなくハデス様が張った結界だったようです。ぺるみ様が怪我をしたのは自分のせいだと酷く思い詰めていて……)


 そんな……

 わたしが怪我をしたのは、わたしのせいなのに。

 吉田のおじいちゃんはあれからずっと海に座り込んでいるし。

 

 こんなのは嫌だよ。

 いつもの皆に戻って欲しいよ。

 

「吉田のおじいちゃん……もう立って。お父さんとハデスも、わたしが怪我をしたせいでそんな顔をしているの? わたしが怪我をしたのは皆のせいじゃないよ。わたしがそうしたかったからそうしたの。王子達も止めてくれたのにわたしがそれを聞かずにやったの。誰かのせいじゃないよ。わたしのせいなの」


「ペルセポネ……」


 ハデスがすごく辛そうにわたしを見つめている。


「やっと目を合わせてくれたね」


 ハデスに抱きつくと身体が冷えているのが伝わってくる。


「すまない……こんな事になるとは」


「わたしの方こそごめんなさい。皆にこんなに辛い顔をさせるなんて……本当にごめんなさい」


「ペルセポネは悪くない。悪いのはわたしだ。あの結界を張ったのはわたしなのだから……」


「ハデス……身体が冷たいよ? ほら、吉田のおじいちゃんも立って。それから……お父さん……心配かけてごめんなさい」


「謝るのはお父さんの方だよ。こんな事に巻き込んで……本当に……ごめん」


「わたしはお父さんの娘なんだよ? どれだけ愛されているかも知っているんだから。それに、なんとなく分かったから」


「……え?」


「戦にならないように、こうしたんだよね? わたし達を信じてこうしたんだよね?」


「ぺるみ……」


 お父さんが驚いた顔をしている。

 当たっていたみたいだ。

 やっぱり、どこの傘下にも入っていない魔族と、穏やかに前に進めるようにこうしたんだね。 


「皆も一旦、海から出よう。身体が冷えきっているみたいだし。ほら、吉田のおじいちゃんも……ね?」


「ぺるぺる……」


「ほら、おじいちゃん……見て?」


「……何を?」


「おじいちゃんの子孫達が心配しているよ?」


 ベリス親子もベリアルもすごく辛そうだよ。

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