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この膜……どう考えても変だよ

「ちょっと待ってろ。オレが飛んであの膜の所まで行ってみる。オレは天族だから、通り抜けられるかも」


 ベリアルがゆっくり飛んで行ったけど……

 やっぱり飛べるんだね。

 ベリアルは翼じゃなくて、神力を使って飛んでいるはず。

 変だよ……

 この島に閉じ込めた『誰か』にとって都合の悪い『空間移動』の力は使えないのに、飛べはする……?

 それに、火の力も使えるんだよね?

 うーん?


「どう? 出られそう?」


「いや、ダメだな。かなり硬い膜が張ってある」


 ベリアルが険しい顔をしながら戻ってきたね。


「ベリアルの火の力でも壊せなさそう?」


「やってやれない事はないけど……この防御膜の中がかなり高温になるはずだ。オレらはいいけど人間には耐えられないだろうな」


「そんな……あ、じゃあクラスの皆だけ防御膜から出せないかな? わたし達の問題に巻き込みたくないんだよ」


「うーん。たぶん人間も無理だろうな。かなりしっかりした防御膜だ。でも上から見た感じ、波は普通に膜を越えてたぞ」


「じゃあ、生き物だけが閉じ込められているって事? そういえば、さっき魚が大量に見えたけど……膜で閉じ込められていたのかな?」


「みたいだな。空間移動してこの島に入って来た瞬間に膜を張ったんだろう」


「それで魔族の気配がしたんだね」


 でも……

 こんな事ができる魔族がいるのかな?

 天族や次期種族王を閉じ込めるなんてできるの?

 こんなすごい魔力を持った魔族には今まで会った事がないよ。

 だとしたら……

 吉田のおじいちゃんが直接創り出した魔族の可能性が高い……?


「でも目的はなんだ?」


 目的か……

 

「たぶん……どこの傘下にも入っていない魔族がイフリート王子とベリス王子を消そうとしているんだよ。それと、神の娘であるわたしを殺して天族と戦を起こそうとしているの」


「そんな! どうするんだよ!? このまま黙ってやられるのか!?」


 そんなつもりはないよ。

 誰一人傷つけさせたりしないんだから!


「どうするって……こうするんだよ」

 

 わたしは飛べないから防御膜の上面の部分には行けないけど、側面になら海に入れば行けるはずだよ。


「ぺるみ?」


 ベリアルが不思議そうにわたしを見つめているね。

 とりあえず、膜を確認してみないと。


 海水が膝にくるくらいまで進むと……

 うーん。

 やっぱり透明な硬い膜があるね。

 かなり硬い。

 クラスの皆も不思議そうに触っている。

 

 ここからだと膜がよく見えるね。

 大きくて四角い透明な膜に閉じ込められているんだ。

 

「皆! ごめんね、一回海から出てもらえるかな?」


 割れた膜の破片で怪我でもしたら大変だからね。


「ん? どうかしましたか?」


 前の席のジャックが膜を触りながら尋ねてきたけど、閉じ込められているなんて言えないからね。


「うん。何かの間違いでこの無人島に、目に見えない膜が張られちゃったみたいなの」


「膜が? 言われてみれば何か硬い透明な壁みたいな物がありますけど。でも、ほら、おかげで魚が大量に獲れそうですよ」


「あはは。本当だ。バーベキューにしたらお腹いっぱいになれそうだね」


「はいっ! じゃあ、一旦海から出ますね。バーベキューの準備は任せてください!」


 ジャック達が陸に上がったね。

 嬉しそうに、砂浜でバーベキューの準備を始めてくれている。


 あとは、クラスの皆に怪我をさせないようにこの膜を壊すだけだね。


 膜の外の近い所から複数の魔族の気配を感じる……

 魔族は耳が良いから、ここから話しても聞こえるよね。


「あなた達はどこの傘下にも入っていない魔族だよね? わたし達を閉じ込めたつもりだろうけど……正直……残念だよ。わたしは皆と仲良くなりたかったの」


 遥か昔、吉田のおじいちゃんが創り出した魔族はかなり強かったんだ。

 でも、親よりも強い子は生まれない。

 

 戦で魔族は数を減らしていき、強い魔族はそれなりに強さを保っていられたけど、弱い魔族はどこまでも弱くなっていった。

 それに焦ったどこの傘下にも入っていない魔族が、弱い魔族を食べて遥か昔の強い力を取り戻そうとしているんだよね?


 人間に魔素入りの小瓶を渡したのも、無人島を覆う防御膜を張ったのもきっとその魔族がやったはずだよ。

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