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笑顔でいるって難しいね

 ついにわたし達のクラスが三クラス中、最下位ではなくなった。

 さすがに一か月勉強したくらいじゃココちゃん達のクラスには勝てなかったね。

 今回、ジャック先生のクラスが最下位になったけど……

 ジャック先生はわたし達の頑張りを知っていたから、良く頑張ったって褒めてくれたんだ。

 

「うわあぁ! すごいごちそうだ!」


 いつもピクニックをしている木陰に行くと吉田のおじいちゃんとおばあちゃんが嬉しそうに準備をしてくれている。

 

「ぺるみ、皆もよく頑張ったなぁ」


 おばあちゃんが優しく抱きしめてくれたね。

 甘い匂い……

 わたしが大好きなプリンの匂いだ。


「えへへ。すごいの! 一問間違えただけだったんだよ?」


「ははは。群馬にいた頃は目も当てられねぇ点数だったのになぁ」


「もう! それは内緒なの!」


「ははは。そうか、そうか」


「じゃあ、ばあちゃん達は行くからなぁ」


「(そうだね。クロノスおじい様が待っているよね。昨日会ってきたんだけど、おばあちゃんが作ったドーナツを大切そうに抱っこしていたよ。もったいないからゆっくり食べたいんだろうね)」


「そうか、そうか。さすがにもう食べ終わってるだろうからなぁ。今日は大量のプリンを作ったんだ」


「ふふ。きっと皆、喜んでくれるね」


「そうだなぁ。ぺるみ達の分もあるからなぁ。ゆっくり食べろ? 後片付けは雪あんねぇ達が来てくれるからなぁ」


「うん! いってらっしゃい」


「ははは。いってくるなぁ」


 おばあちゃんも吉田のおじいちゃんもタルタロスで大好きな息子達と過ごせて幸せみたいだね。 


 こうして、最下位を抜け出したお祝いが始まった。


「うわあぁ! サンドイッチにおにぎりに魚のから揚げにケーキまである! あ! アイスクリームもあるぞ? あっちにはラザニアと……」


 ベリアルが嬉しそうにつぶらな瞳をキラキラ輝かせているね。

 先生が、赤ちゃん用のフリフリレースのついたスタイをさりげなくベリアルの首につけた!?

 パンみたいな翼にはフォークとスプーンを握っている。

 くうぅ!

 赤ちゃんのヒヨコちゃんみたいだ!

 激かわだよ!

 先生もクラスの皆もニヤニヤが止まらないね。


「ふふ。ヒヨコちゃんはお腹が空いているのかな?」


「うん! 安心したらお腹が空いたんだ! よし! じゃあ、皆、一緒に……」


「「「いただきますっ」」」


「うまあぁぁぁい! こっちも、うまあぁぁぁい!」


 ベリアルは、興奮して叫びながら食べているね。

 クラスの皆もすごく嬉しそうにしている。


「ペリドット様、オレ初めてテストで半分以上正解したんですよ」


 前の席のジャックが嬉しそうに教えてくれたね。


「すごく頑張っていたからね。おめでとう」


「えへへ。ありがとうございます。……でも、もうすぐお別れなんですね」


「……うん。あと三週間もいられないんだね」


「悲しいけど……オレ……ペリドット様が思い出すオレ達が笑顔なように、毎日笑って過ごします」


「ジャック……ありがとう。わたしもジャック達が笑顔のわたしを思い出してくれるように毎日笑っていたいよ」


「あっという間でしたね。この一か月……色々あり過ぎて、すごく濃くて、すごく早くて……」


「うん。このクラスで過ごした一か月……わたし……絶対に忘れないよ」


「オレもです。絶対に忘れません」


 ダメだ。

 涙が溢れてきちゃった。

 こんな顔は見せたくないのに。

 笑っているわたしを思い出して欲しいから、笑わないと。

 でも……

 涙が止まらないよ。


「ペリドット様ぁ……泣かないでくださいよぉ。オレだって我慢してたのにぃ……」


 ジャックもクラスの皆も泣き始めちゃったよ。

 

「どうして泣いてるんだ?」


 ベリアルが泣いているわたし達に気づいたみたいだね。

 ずっと食べていて話を聞いていなかったのかな?


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