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勉強をしていないのに満点を取る人っているよね

「はい。それでは皆さんお待ちかねのテスト返しですよ」


 先生が嬉しそうに大量の答案用紙を教卓に乗せたね。

 クラスの皆がソワソワしているのが見て分かる。


「本来ならそれぞれの科目の時間に返すのですが、皆さん結果が気になって講義どころではないでしょうから。うふふ。では……一人ずつ名を呼びますから前に来てくださいね。それから、なんと全科目満点の方がいました」


 全科目満点!?

 やっぱりベリス王子かな?

 わたしも一応全部埋めたけど、やっぱり『生活』は自信がないんだよね。


 先生が一人ずつ答案用紙を渡していく。

 返された皆の顔がキラキラ輝いている。

 きっと勉強の成果が出たんだね。


「はい。それでは……次は緋色の殿下」


 お?

 ベリス王子が呼ばれたね。

 やっぱり満点なのかな?

 わたしが勝てばベリアルのガラス細工がもらえるんだけど。


「おや? 一問間違えていましたか……間違えて商売用語で答えてしまったようです」


 ベリス王子が残念そうにしている?

 ええ!?

 本当に!?

 もしかしたらわたしの勝ちかも!


「はい。では、次はペリドット様」


 うわあぁ!

 ドキドキするよ。

 満点か、ベリス王子と同じ点数ならベリアルのガラス細工はわたしの物だよ。


「あ……わたしも一問間違えているよ……」


 やっぱり『生活』か……

 貴族の寝具についてのところを間違えているね。

『なぜ千年前までベットが小さかったのでしょう』?

 うーん?


「ふふ。ペリドット様はその講義中は学術科に行っていたのかもしれませんね。正解は『ベットに横にならずに座って寝ていたから』ですよ。昔の人は大変でしたね」


 先生の言う通りだよ。

 なんでベットがあるのに手足を伸ばさないんだろう?

 疲れちゃいそうだよ?

 ちなみにわたしの解答は、部屋を広く使う為って書いてあるね。

 あれ?

 でも、学術科にはベリス王子も一緒に行っていたはずだよ。

 講義を聞いていないのに正解していたなんて、やっぱりベリス王子は頭が良いんだね。

 

 ……?

 じゃあ満点は誰?


「はい。では、最後に赤き殿下」


 イフリート王子が前に出たね。

 ん?

 すごく嬉しそうにしている?

 もしかして……


「やったぁ! 満点だ!」


 ……!?

 満点はイフリート王子だったの!?

 勉強している姿なんてほとんど見た事がないのに。


「おや、満点は王子でしたか。(あのイフリート王のご子息ですからね。当然と言えば当然です)」


 ベリス王子がいつもの作り笑顔で呟いたね。

 

 あれ?

 じゃあ、わたしとベリス王子は同じ点数だから……


「ふふふ。これでガラス細工はわたしの物だね」


「おや? それは違いますよ? わたしは一点の減点でぺるみ様は二点の減点ですよ?」


「ええ!? あ、確かに……え? じゃあ、わたしの負け!?」


 うぅ……

 ベリアルのガラス細工が手に入らなかったよ。

 でも、像を造る間はベリアルをずっと抱っこできるんだよね?

 ぐふふ。

 ガラス細工は残念だけど、これはこれでいいかも。


「それに……」


「ん? どうかした?」


「(はい。昨夜遅く父上の元にハデス様が来て、ベリアルのガラス細工の予約をしていったそうです)」


「(え? ハデスが? どうして?)」


「(たぶん、夜中に先生の部屋に忍び込んで点数を見たのではないかと。頑張って勉強していたぺるみ様にご褒美として贈りたかったのでしょう。あ、ちなみにわたしから聞いた事は秘密にしてください。命は大切ですから)」


 確かにハデスは明け方に冥界に帰ってきたけど。

 まさか、わたしの為に先生の部屋に忍び込んでいたなんて……

 いや、もしかしたらおばあちゃんか吉田のおじいちゃんに先生の心を聞いてもらったのかも。


「(分かった……秘密にするよ。えへへ。教えてくれてありがとう)」


「ぺるみ様は愛されているのですね」


「えへへ。うん。そうみたい」


 ハデスはいつもわたしの為に色々してくれるけど、わたしからは何も返せていないよね。

 何かお返しできないかな?

 ハデスが喜びそうな何か……

 うーん。

 大好物のおはぎを作るとか?

 そういえば『じいじ』だった時は肩叩きをしたら喜んでいたよね。

 テストも終わったしハデス孝行をさせてもらおうかな。

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