オレとぺるみは絶対に似てないぞ
今回はベリアルが主役です。
「わたしは……ぺるみ様の事が好きです」
……!?
ベリス王子がぺるみを好きって言った!?
これって告白だよな!?
オレの方がぺるみの事をもっともっと好きなのに!
ぺるみは、なんて返事をするんだ?
オレを抱っこしているぺるみを、ドキドキしながら見上げる。
「ん? あはは。わたしもベリス王子の事が好きだよ」
……!?
ぺるみ!?
お前にはハデスがいるだろ!?
「ははは。わたし達は親戚ですからねぇ。もちろん、ベリアルもイフリート王子もゴンザレスも好きですよ」
ん?
ベリス王子はオレの事も好きなのか?
なんだ。
そういう『好き』か。
「親戚か……じゃあ親戚だからベリアルグッズをタダで欲しいなぁ」
ぺるみは幸せの島の部屋をオレのグッズでいっぱいにしてるんだよな。
それを聞いた時には嬉しかったけど……
こっそり覗き見した時にヨダレを垂らしながらニヤニヤしてる姿を見てからは恐怖でしかないんだ。
「それはいけません。推しのグッズは自らの手で掴みとるものです!」
ベリス王子はオレのグッズを餌にしてぺるみをいいように使いたいだけだろ?
全くぺるみはオレの事になると簡単なんだから。
「うぅ……確かにそうなんだけど……」
それにしても、ぺるみとベリス王子は最近すごく仲良しだよな。
ベリス王女の件があってからか?
それともオレの誕生日の時?
「そういえば、今日ベリアルが描いてくれたわたしの似顔絵を店舗に飾っても構いませんか?」
ん?
オレが描いたあの絵をベリス王子の店に?
「別にいいけど。なんで店に?」
「愛らしいパンのような翼で描いた素晴らしい絵を人間達に見せて、癒されて欲しいのです。人間は身分制度で苦しんでいますから」
「そうか。人間の為か。ベリス王子は優しいんだな」
少し前まではこんな風には思えなかったけど、ベリス王女の事を知ってからは王子の事を好きになったんだよな。
「ははは。よく言われます」
「騙されちゃダメだよ! んもう! ベリアルは簡単なんだから! 集客目的に決まっているでしょ!?」
ぺるみ!?
そんなはずは……
ベリス王子は本当は優しいんだ。
ぺるみは誤解してるんだ。
「ははは。バレましたか」
ベリス王子が笑ってる!?
嘘だったのか?
人間を癒したいって言ったのは嘘だったのか!?
超絶かわいいヒヨコのオレを騙したのか!?
「次からは気をつけなよ? ベリス王子の頭の中は商売と妹さんの事でいっぱいなんだから」
ぺるみにだけは言われたくないよ!
いつも簡単に騙されてるだろ!?
「オレ……もう誰の事も信じられないかも……」
悲しいよ。
こんなの悲しいよ。
オレの超絶かわいいつぶらな瞳から涙が溢れそうだよ。
「ベリアル……実は、この間のスノーボールクッキーを作ってみたのですが……」
ベリス王子が申し訳なさそうにクッキーを出してきたけど……
こんなのじゃ騙されないぞ!
こんなのじゃ……
おいしそう……
ゴクリ……
丸いクッキーに真っ白い甘そうな粉がいっぱいかかって……
もう我慢できないっ!
「うわあぁぁぁい! いただきますっ! うまぁぁぁぁあい!」
うわあぁ!
最高だぁ!
旨いよぉ!
「ぐふふ。簡単なヒヨコちゃん……激かわだね」
なに!?
ぺるみにだけは言われたくないぞ!?
でもスノーボールクッキーは最高だぁ!
「いやぁ……ぺるみ様とベリアルが遥か昔ひとつだったというのが一目瞭然ですねぇ」
ベリス王子はオレとぺるみがそっくりだと思ってるのか!?
誰が見てもオレの方がぺるみよりしっかりしてるだろ!
「サクサクサク絶対オレの方がしっかりしてるだろ! 全く……サクサクサク」
クッキーを食べるクチバシが止まらないっ!
「はあ!? わたしの方がしっかりしているでしょ!? 絶対ベリアルの方が簡単だよ!」
ぺるみが怒り始めた?
でも……
「絶対ぺるみの方が簡単だ! サクサクサク」
「絶対ベリアルの方が簡単だよ! スーハースーハー」
いつの間にかガッツリ吸われてる!?
こいつ……
簡単なうえに、ど変態……
これが神の娘だなんて天界は大丈夫なのか?
いや、神であるゼウスの方が手がかかるか……
ぺるみは父親似だな。
だから……オレとぺるみは絶対に似てないぞ!




