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ベリス王子との駆け引きはこれからも続きそうだね(4)

 群馬にいた頃は魚には表情が無いと思っていたけど、この世界に来て魚族や魚人族に出会ってからそれは間違いだって分かったんだ。

 皆、笑顔がすごくかわいいし、辛そうにしているとわたしまで胸が痛くなるの。


(ぺるみ様らしいお考えですね)


 そうかな?

 ねぇ、ゴンザレス?


(はい?)


 わたしらしいって何?


(……え? うーん。真っ直ぐで優しくて、絶対に裏切られない安心感……? あとは……変態……?)


 もう!

 変態は余計だよ!


(あはは! ぺるみ様といえば『モフモフ好きの、ど変態』ですから)


 何それ!?

 ……いや、事実だけど。


 でもモフモフだけじゃないよ?

 ツルツルしている魚族とかも好きだし。

 あとは……

 最近は人間も好きなんだ。

 あ、ドラゴンも好きだよ。

 ちょっと硬くてひんやりしているから暑い日はずっと抱きついていたいよね。

 もちろんゴンザレスの事も好きだよ。


(あはは! ドラゴンに抱きついていたいなんてぺるみ様くらいですよ。でも……オレ思うんです。ぺるみ様が現れてこの世界が変わり始めて……オレの目の前がパアって明るくなったんです)


 ……ゴンザレス。

 ずっと辛かったんだね。


(ゲイザー族は皆家族で。だから……次々に命を奪われる姿を見て……オレ……)


 ゲイザー族は、かなり酷い目に遭ってきたんだよね。

 

(はい。母親も、兄や姉達も皆利用されて殺されて……だからゲイザー族は心を聞く力がある事を隠してひっそりと暮らしてきました。友達も作れないし、本当はいっぱいおしゃべりしたいのにそれもできなくて。でも、今はベリアルと兄弟みたいになれたし、おしゃべりもできるし。毎日がすごくすごく楽しいんです)


 ……そう。

 

(オレ、家族にもっともっと『大好きだよ』って伝えたかったんです)


 ……え?


(母親が死んだ時も……兄や姉達が死んだ時も……ずっと後悔して)


 ゴンザレス……


(だから、ぺるみ様が皆に『好きだよ』と言っている姿を見ると羨ましくて)


 ……そう。


(だからオレも恥ずかしがらずに言う事にしたんです。『大好きだよ』『ありがとう』って。もう二度と、喪ってから後悔したくないから)


 ……うん。

 そうだね。

 わたしにも、その気持ちがよく分かるよ。

 わたしも同じ思いをしてきたから。


(オレ、ぺるみ様の護衛になれて幸せです。ぺるみ様は絶対にゲイザー族を駒みたいに使わないから。簡単に命を捨てさせたりしないから)


 うん。

 そんな事、絶対にしないよ!


(はい。ぺるみ様は本当に真っ直ぐですね。だから、皆がぺるみ様を信じて前に進めるようになるんです)


 ……?

 そうなの?


(きっと世界は変わります。……だから……ぺるみ様はいつまでも今のままでいてください)


 ……ゴンザレス?

 

(ぺるみ様が笑うと皆の心が温かくなるんです。疲れた心が温められて幸せな気持ちになれるんです)


 ……褒め過ぎだよ。


(この世界はオケアノス様の為に創られました)


 ……うん。

 そうだね。


(だからでしょうか)


 ……え?


(ぺるみ様の中にはオケアノス様がいて……だから、オレは……ぺるみ様の事を母親みたいに思えて……)


 わたしが母親……?

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