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なんだか嫌な予感がするんだよ~前編~

 ベリス王子とイフリート王子と一緒にアカデミーに空間移動すると……

 前の席のジャックは今日も一番にクラスルームに来ているね。

 真剣にテスト勉強をしているみたいだけど。

 目の下にクマがある……

 昨日も疲労回復の力を使ったけど、今日も気づかれないようにこっそり癒してあげよう。


「あ、おはようございます。ペリドット様、ヒヨコ様、殿下」


「ジャックおはよう。ふふ。勉強し過ぎて頭がフラフラしているみたいだね」


「はい……あれ? 頭がスッキリした? 気のせいかな?」


「ふふ。それはヒヨコちゃんのかわいさに癒されたんだよ」


「確かに! ヒヨコ様は世界の宝ですからっ!」


 ジャックが瞳をキラキラ輝かせてベリアルを見つめている。

 

「ジャックは仕方ないな。特別に抱っこさせてやるか」


 ぐふふ。

 ちょっと生意気なヒヨコちゃんも激かわだね。

 ベリアルはジャックの事が大好きだから抱っこされて嬉しそうだよ。


「ヒヨコ様は今日もかわいいですね。クンクン……朝食はおにぎりでしたか?」


「ん? よく分かったな」 


「ノリの匂いがしますから。スーハースーハー……永遠に吸っていられますよ。堪りませんっ!」


「ジャックが日に日に変態になっていく……オレはジャックの将来が心配だ」


「あはは! オレが変態なのはヒヨコ様に対してだけだから心配しないでください。それに世界中がヒヨコ様に夢中なんですからオレだけが変じゃないんですよ! それより見てください。ノートに何度も書いて勉強したんです。ヒヨコ様のおかげで今日のテストは絶対に良い点数ですよ!」


 あ!

 そのノートは、ベリス王が販売を始めた『ベリアルにそっくりな絵が表紙に描いてある激かわノート』だ!

 頑張っているクラスの皆に、ベリス王子が無料でプレゼントしたんだよね。

 わたしももらったから幸せの島の家に飾ってあるんだ。


「ん? オレのおかげ? うわあぁ! 難しそうな事がいっぱい書いてある。ジャックはすごいな!」


「今回のテストで最下位のクラスから脱け出したいから……もう二度と『バカクラス』なんて言わせません」


「ジャックならできる! ずっと頑張ってきたからな」


「はい!」


 ジャック……

 立派な事を言いながら、がっつりベリアルを吸っているね。

 あり得ないくらいニヤニヤしているよ。


「ところでさっき世界中がオレに夢中って言ってたけど?」


 くうぅ!

 ベリアルが首を傾げて尋ねているよ。

 超絶かわいいっ!


「あれ? 知らないんですか? ついにヒヨコ様の小さいぬいぐるみが売り出されたんですよ」


「え? そうなのか?」


「はい! 平民から貴族まで皆持っているんですよ。ペリドット様が誰でも買えるようにって安い物も用意してくれたんです。皆バックに付けたり、ポケットに入れたりしているんですよ。ほら、見てください。オレは胸ポケットに入れています」


「うわあぁ! かわいいなぁ。ジャックは胸ポケットに入れて顔だけ見えるようにしてるんだな」


 ぐふふ。

 ベリアルは自分のぬいぐるみを自分でかわいいって言っているね。


「はいっ! ポケットから顔を出すヒヨコ様……ぐふふ。堪りませんね」


「……! まさか……世界中の人間がオレのぬいぐるみを見ながらグフグフ言ってるんじゃないよな? ……怖っ!」


「先生はぬいぐるみに着せるドレスを作っていましたよ。黄色いドレスがかわいかったなぁ」


「ぬいぐるみに着せるドレス!?」


 ベリス王子がかなり興奮しているね。

 世界中の人間が持っているぬいぐるみに服を作ればかなりの儲けが出るはずだから。

 ……まさか早退して服を作る商売の準備を始めたりして。


「これは大変だ……なぜ思いつかなかったのか。(ぺるみ様、空間移動をお願いします。急いでおばあ様の元に向かわなければ)」


 ベリス王子が小声で話しかけてきたね。

 そういえば、ベリス王子はおばあちゃんの事を『おばあ様』って呼ぶようになったんだよね。

 確かにベリス王子はオケアノスの子孫だから、オケアノスの母親であるおばあちゃんをそう呼んでもおかしくはないんだけど。

 あれ?

 じゃあ、おばあちゃんはペルセポネの曾祖母でもあるからわたしとベリス王子は親戚なんだね。

 だからベリアルに似ているって言われたのかな?




 こうして誰も居ない場所でベリス王子を空間移動させようとすると大切な事を思い出す。


「ああ! テストはどうするの!?」


 今日は大事なテストなんだよ!?

 ベリス王子は頭が良いから平均点をかなり上げられるのに!


「テストまでには戻りますよ。父上に共同で服の販売をしたいと話して、おばあ様に服の作り方を訊きに行くだけですから。一緒に行き話を聞いていますか?」


「え? あ、いや、なんか嫌な予感がするから空間移動するだけにしておくよ」


「おや? そうですか?」


「絶対タダ働きをさせるつもりでしょ?」


「ははは! バレましたか」


「もう! やっぱり!」


「では、とりあえず空間移動をお願いします」


「うん。わたしは送迎をするだけで絶対に手伝わないからね!」


 って言っていたのに……

 ベリアルのぬいぐるみが着る服の話をしているベリス王子とベリス王の話が気になって仕方がないよ。

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