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昔話は大体美化されているよね

「じゃあ、わたしはこれで」


「ああ! あのペリドット様……神様は、やはり神々しく美しかったのでしょうか?」


「え?」

 

 公爵はどうしたのかな?

 日本で神様っていうと、なんとなくおじいさんみたいに思っていたけど。

 この世界の人間は神様を若くて美しいと思っているのかな?

 

「こんな話をしたら笑われてしまいそうで誰にも話して来なかったのですが……実はわたしは女神様に導かれた事があるのです」


「神様じゃなくて女神様に?」


「はい。あれは……数十年前シャムロックの王女が地下牢に囚われていた時の事です。わたしの前にそれは美しい輝くような白い髪に、美しい海のような瞳の女神様が現れまして」


 え?

 それってお母様の容姿だよね?

 そういえばルゥのお兄様にもお母さんにも色々手助けしてくれていたんだよね。

 もしかして、ココちゃんのおばあさんの事も助けていたのかな?


「どうして女神様だと思ったの? 美しい人間かもしれないんじゃないかな?」


「それが……翼が生えていたのです」

 

 あぁ……

 間違いないね。

 お母様だ。


「公爵はわたしが見た神様を、その女神様だと思ったの?」


「はい。叶うならもう一度お会いしたいのです」


「……残念だけど、わたしが見たのは女神様じゃなくて神様だったの」


 しまった……

 どうしよう、ローブを取ったら全く同じその見た目だよ!?

 わたしはお母様と、髪の色も瞳の色も同じなんだから。

 これはまずいよ。

 絶対にローブは取れないよ!


「ん? なんだ。ぺるみと同じだな。モグモグ」


 ……!?

 ちょっとベリアル!?

 なんて事を!


「じいちゃん、お菓子のおかわり!」


 くぅぅ!

 かわいいっ!

 ってそうじゃなくて!


「ペリドット様、なんという事だ! お願いです。どうかローブを取りお美しいお姿を……」


 ……!?

 そんな潤んだ瞳で見られても。

 こんな事になるのなら、違う姿で来れば良かった。

 今はペルセポネの姿で翼を隠してもらっているだけなんだ。

 でも、これから協力してもらうのに断るわけにもいかないし。

 仕方ないね。

 

 ローブをゆっくり取ると公爵の顔がよく見える。

 うわぁ……

 憧れの人を見る瞳だね。

 困ったな。

 

「あぁ……あの時の女神様にそっくりだ。女神様……あの時の約束通りわたしは常に誠実に生きて……うぅ……」


 泣いちゃった!?

 どうしよう。

 泣かせちゃったよ。

 でも誠実って言うわりには、さっき誘導尋問しようとしていたよね?


「あの……わたしは、女神様じゃないよ?」


 女神様の娘だよとは言えないよね。


「申し訳……わたしは女神様にお会いした……あの時から……うぅ……ずっと心の中の……女神様に……支えられ……うぅ……」


 公爵……

 泣き過ぎて鼻水が……

 要するにお母様の存在が生きる支えになっていたっていう事なんだね。

 あれ?

 じゃあ、もしかしてベリス王が話していたあの恋のお話は勘違いだったのかな?


「あの……公爵? 公爵はシャムロックのおばあ様と親しかったんだよね? あの……恋愛感情とかって……」


「わたしは……うぅ……シャムロックの王太后とはそのような関係ではありませんでしたよ? うぅ……」


 そうか……

 安心した。

 いや、待って!?

 まさか、お母様の事を好きとか言わないよね!?


「あの……もしかして公爵はその女神様に恋をしているとか……ないよね?」


 もしそうなら第三地区から水晶で見ているはずのお父様が拗ねているかも。

 帰ったら面倒な事になっている予感がするよ。


「わたしのような者がそのような……」


 うーん。

 否定はしているけど、お母様にそっくりなわたしを見る瞳がキラキラに輝いているよ。

 どう見ても恋をしている瞳だね。

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