ドラゴンの島(2)
「酒盛りの続きをしましょ? ぺるみはジュースでも飲みなさい。ふふ。お酒の匂いを嗅いだだけで寝ちゃうんだから」
ばあばはお酒が好きなんだね。
もう飲み始めたよ。
わたしはすぐに眠くなっちゃうからやっぱりジュースがいいな。
喉が渇いたよ……
でもジュースは、なさそうだね。
全部お酒みたいだ。
「ふふ。あら、ブラックドラゴンもいたのね」
ばあばはブラックドラゴンのおじいちゃんがいた事に気づいていなかったんだね。
「ホワイトドラゴン……暴れるのはいいけど怪我だけはダメだよ?」
「……分かったわ、次からは気をつけるわ」
おお……
ばあばとブラックドラゴンのおじいちゃんが仲良くし始めたね。
「ピュー……」
ん?
か細い声が聞こえてきた?
……!
ドラゴンの赤ちゃんが怖くて震えている。
かわいい……
赤ちゃんだけど大型犬くらいの大きさだ。
触っても平気かな?
「えっと……もう怖くないよ。抱っこしてもいい?」
「ピュー……」
触ってもいいのかな?
何て言っているのか分からないけど、いきなり食いつかれる事はなさそうだね。
「うわぁ……ひんやりしているね。でも、ばあば達と違って硬くないよ」
「ピピ……」
ピピ!?
潤んだ瞳で見つめている!?
かわいい……
かわい過ぎるよ。
ベリアルとはまた違ったかわいさだね。
「抱っこするよ?」
噛まないかな?
ちょっと怖いけど……
かわいいから多少なら噛まれてもいいかも。
さすがに腕を食いちぎられる事はないよね?
「ピュッ!」
抱っこされて驚いたみたいだね。
ビクッとしたよ。
「ふふ。かわいいね。もう大丈夫だよ」
ん?
わたしの匂いを嗅いでいる。
初めて会うから安全な生き物か確認しているのかな?
……!
顔をなめられた!
かわいい!
群馬にいた頃、近所にいたワンちゃんみたいだよ。
「あらあら、ぺるみを食べたらダメよ?」
……!?
ばあば!?
まさか……
食べられるかの確認でなめられたの?
「……ドラゴンの赤ちゃんはわたしを食べようとしているの? こんなにかわいくてウルウルの瞳の赤ちゃんなのに?」
「ふふ。ドラゴンは肉食だから。ほら、このフルーツならぺるみにも食べられるわよ?」
「……うん。赤ちゃんをずっと抱っこしていたら、わたし食べられちゃうかな?」
「今はお腹いっぱいのはずだからしばらくは大丈夫そうよ」
「赤ちゃんでも肉を食べるの?」
「そうね。あとはフルーツも食べるわよ」
「じゃあ、このフルーツも食べる?」
「ふふ。食べさせたいのね。口の前にフルーツを出してみなさい? でも腕を食いちぎられないように気をつけて」
「食いちぎられる……? うん。気をつけるよ」
「ピュー……モグモグ」
「うわあぁ! 食べたよ! ばあば! 見て見て!」
「あらあら。良かったわね。ふふ。次は腕を食べさせろって言っているわね」
「え!? 本当に!?」
「ふふ。冗談よ。ハデスちゃんの匂いがすると言っているわ」
「ハデスの匂い?」
「ええ。それと、ハデスちゃんからぺるみの匂いがしたとも言っているわね」
「じゃあ、わたしの事を食べようとはしていなかったの?」
「ふふ。そうね。それに、ぺるみによく似たデメテルを何度も見ているから食べ物だとは思っていないはずよ」
「そっか。良かった。えへへ。これからは毎日会いに来てもいいのかな?」
「それはダメよ。今は満腹だから平気なだけで空腹だったら食いつかれても仕方ないわよ?」
「うぅ……分かったよ。今、いっぱい撫で回すよ……」
「ふふ。それがいいわね」
「でも、聞いた話だと赤ちゃんドラゴンは毎日暴れて島を破壊しているって……うーん。そんな風には見えないけど」
「あら? そうなの? 確かに暴れてはいるけど……島を破壊しているのは他のドラゴンじゃないかしら? こんなに小さかったら島は壊せないでしょう? デメテルが直してくれるから他のドラゴン達が好き放題壊しているんじゃないかしら」
「え? そうなの? どうしてドラゴンの皆は島を壊したいの? 大切な島じゃないの?」
「うーん。ドラゴンの本能かしらね」
「本能?」
「破壊したい衝動ね。ドラゴンは遥か昔から魔族最強だったわ。あの島に閉じこもっていたあの魔族よりも強い。でもドラゴンは他種族と関わろうとしてこなかったの」
閉じこもっていたあの魔族……?




