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神様の威力はすごいんだね

「では、明日からアカデミーに通うとして、タウンハウスはお持ちですかな?」


 やっぱり、その話になるよね。

 公爵の言う通りだよ。


「昨日考えついた小国の王女の設定だからタウンハウスは無いの。でも空間移動するから平気だよ?」


「ですが……それでは空間移動できるヒヨコちゃんの存在を知る者には聖女様だと分かってしまうのでは?」


 なるほど、公爵は空間移動できるヒヨコちゃんの存在を知っていたんだね。

 だから、すぐにわたしが聖女ルゥだと分かったんだ。

 公爵は聖女ルゥが亡くなった事を知っているんだよね?

 ずっとローブのフードを被っているから、今のわたしが聖女ルゥの身体じゃない事は分かっていないんだよね?

 さすがに亡くなった身体で来ているとは思っていないだろうけど。

 どうやって今ここにいるのかを説明しないと。


「ああ、聖女だって知られてもいいんだよ? いつか話すつもりだから。あのね? わたしは、聖女だったでしょう? わたしの最期を知った神様がこの身体を与えてくださったの」


 そういう設定だから、嘘をついてごめんね?


「神様が!? 神様にお会いしたのですか?」


 毎日会っているよ。

 なんならお父様だよ?


「一度だけね? でもぼんやりとしか思い出せないの」


 こういう設定だからね。

 ごめんね。


「やはり神様は実在したのか……ではペリドット様は神様からそのお美しいお身体を授かったわけですね?」


 お美しいお身体!?

 ローブを被っているから顔なんて見えないよね!?

 公爵は神様を崇拝しているのかな?

 キラキラの瞳で見つめられているよ。


「ありがたい事に神様が身体を授けてくださったの。今はまだペリドットとしてリコリスにいるつもりなんだ。でも、ばれた時にはちゃんと話すつもりだよ? 初めからお兄様の妹で聖女だったと話したら、犯人に警戒されちゃうでしょ?」


「確かに……」


「それに、また偽の聖女が現れたらしいね。しかも金品を要求してくるんでしょ? 神様が怒っていたよ? 他は曖昧だけど、そこのところはよく覚えているんだよね」


『ペルセポネの振りをするなんてっ! 赦せないよっ! ぷんぷん!』

 

 ってお父様が怒っていたのは事実だからね。

 これは嘘じゃないよ?


「なんと! 神様が!? それは大変だ!」


「うん。だからね? そっちもなんとかしようと思って。両方が解決したらアカデミーも辞めて元の生活に戻るつもりなの。といっても授業が終わったら空間移動で毎日家に帰るんだけどね」


 一日の三分の一ずつを第三地区と冥界と天界で過ごしていたから、アカデミーから帰宅してどの時間をどこで過ごすかで散々揉めたんだよね。

 今年は一年の三分の一は既に冥界にいたからザクロの実を食べた呪いも気にしなくていいから。

 その辺は安心だね。


「神様から授かったお身体に傷がついたら大変です。どうかどうかご自愛ください」


「あ……うん。ありがとう」


 さっきまで探ってきていた人とは別人のようだね。

 神様の威力はすごいね。

 絶対にお父様の残念な神様の姿だけは知られるわけにはいかないよ。

 それにしても、明日から学生か。

 群馬にいた頃と合わせればもう三十一歳なんだけど。

 ペルセポネの頃から数えれば数千歳だよね……

 月海るみは高校の途中で亡くなったし、正直アカデミーが楽しみなんだ。

 アンジェリカちゃんとココちゃんと仲良く通えたら嬉しいな。


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