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誕生日の宴は最高だ! (5)

今回はベリアルが主役です。

 オレじゃ、ぺるみの恋人にはなれないよな。

 ぺるみにはハデスがいるんだし。


「……うん。オレも……ぺるみは大事な家族だ」


 これでいいんだ。

 これ以上は望んだらダメだから。

 オレは……

 ぺるみが幸せそうに笑ってくれればそれでいいんだ。

 オレじゃ、ぺるみを守る事もできないし……

 なにより、ハデスを見つめるぺるみの瞳はキラキラ輝いて……

 オレはあんな瞳で見られた事は一度もないから。

 ……よだれは毎日垂らされるけど。


「これからも毎年お祝いしようね」


「うん……」


 オレの初恋の相手はペルセポネ様。

 オレが好きになった二人目はルゥで……

 その気持ちはぺるみになっても続いてきた。

 でも……

 もう蓋をしよう。

 ずっとそう思ってきたけど……

 今日で完全に終わりにしよう。

 世界は広いんだ。

 きっとぺるみより素敵な誰かがすぐに見つかるはずだ。


 ……いるのかな?

 本当に……そんな誰かが。

 ぺるみ以上の誰かなんているのか?


 ……涙が出てきた。

 これが失恋か。

 心が痛いよ。

 

「ベリアル? 泣いているの? 誕生日の宴が終わるのが悲しいんだね。あ……」


 ぺるみがそっとオレを抱きしめてくれた?

 こういう時は吸ったりしないんだよな。


「ぺるみぃ……うぅ……」 


 やっぱり大好きだよぉ。

 ぺるみの温かくて柔らかくて甘い匂いに胸がドキドキ……

 ん?

 ぺるみ……?

 筋肉がムキムキ……?

 しかも全然甘い匂いじゃないし。

 むしろ酒臭い……

 しかもオレを抱っこしている上半身が裸じゃないか!

 ダメだろ!

 裸なんて!

 って……

 なんだよ……

 ぺるみのお面とウィッグを被っている人魚じゃないか。

 まだこのお面を持ってたのか。

 紙に描いてあるだけだし、全然似てないじゃないか。

 ジャック達はあの時どうして騙されたんだ?


「ははは! ベリアル! 誕生日の宴に遅れてすまない! 贈り物がなかなか見つからなくてな」


 人魚達が魔法石の力で、下半身を水に入れながら近づいてきた。


「なんだよ! ぺるみの真似をするなよ!」


「ははは! せっかく作ってもらったお面だからな。ほら、贈り物を受けとれ!」


「贈り物? うわあぁ! ありがとう! 何かな? 何かなっ?」


 ん?

 人魚が手を差し出した。

 手の中に入ってるのか?


「絶対に気に入るぞ!」


「……? ん? 貝殻に紐がついてる?」


「ははは! 貝殻でできたビキニだ!」


「……? 貝殻でできたビキニ?」


「そうだ! 着せてやろう!」


「……? うん」


「よし! よく似合ってるぞ! ははは! これをつけて毎日練習すればすぐに人魚のように泳げるようになるぞ」


「まさか……そういう言い伝えがあるビキニなのか!? 人魚に代々伝わる秘宝みたいな?」


「ん? いや、その辺に落ちてた普通の貝殻で作った物だ! ははは!」


「……? でも、さっき贈り物がなかなか見つからなかったって」


「ああ。貝殻はあったんだがな。紐をもらいに第三地区に行ったら誰もいなくて。仕方なく紐の代わりになる物を見つけてたんだ」


「……? 紐の代わり? じゃあ……今オレの身体に巻きついている紐は……」


「ん? それはヒルだ」


「ヒル? なんだそれ」


 紐じゃないのか?

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