誕生日の宴は最高だ! (4)
今回はベリアルが主役です。
「……ベリアル。それ以上は考えなくていいわ」
ホワイトドラゴンの顔が少し怖くなった?
「……え? オレ……口に出してたか?」
「ふふ。忘れなさい」
「え? 忘れるって……何を?」
ホワイトドラゴンがオレのおでこに触った?
「ベリアル……ずっと今のままなんてあり得ないわ。だから……勇気を出してもいいんじゃないかしら」
「ホワイト……ドラゴン?」
あれ?
頭がぼんやりする?
「大丈夫よ。身体に害は無いから」
……?
害?
何が……?
「後悔だけはしないで……」
ホワイトドラゴン?
「あれ?」
頭がぼんやりする?
「ふふ。ベリアルは疲れたのね」
ん?
ホワイトドラゴン?
「確かに……なんだか朝から身体が痛かったんだ……」
「あらあら、大変ね。……ふふ。身体が痛いの?」
「うん。でも今日はオレの誕生日だから……それに我慢できる痛みだし」
「そうなのね。あら、良い匂い……何かしら」
「ん? あ! バーベキューだ! バーベキュー! ほら、ホワイトドラゴンも一緒に食べよう!」
「ふふ。昔からベリアルはかわいいわね。幸せそうで良かったわ」
「え? オレはヒヨコになってからはずっと幸せだぞ?」
ヒヨコになる前に会った事なんて無いし。
でもオレの事を知ってたみたいな言い方だよな?
「ふふ。バーベキューと言えばお酒よね。ヴォジャノーイ族のお酒はあるかしら」
……?
ホワイトドラゴン?
返事もしないで歩いて行っちゃった。
「ベリアル!」
ぺるみが少し離れた所から呼んでいるけど……
うーん?
ホワイトドラゴンはいつも通りだよな?
……?
オレの気のせいか?
「ベリアル! 焼きマシュマロができたよ!」
え!?
焼きマシュマロ!?
ぺるみが串に刺したマシュマロをオレに見えるように振っている。
甘い匂いがここまでしてくるぞ。
「今すぐ食べる! 今すぐ行くからっ!」
やったぁ!
焼きマシュマロだ!
でも……
バーベキューが終わったら帰るのか。
もっと無人島で遊んでいたいけど明日からまたアカデミーだしな。
「よーし! じゃあいくよ! ベリアルの誕生日を祝って……」
ぺるみが空に手をかざすと神力の花火が打ち上がる。
「うわあぁ! 綺麗だなぁ。ぺるみ……ありがとう」
照れくさいけどちゃんとお礼を言わないとな。
今回の無人島での宴は、ぺるみが言い出したってベリス王子が教えてくれたんだ。
「ん? えへへ。ベリアルが朝から嬉しそうで、わたしも嬉しかったよ」
「ぺるみ……」
伝えてもいいのかな?
オレの気持ち……
今なら……
言っても……
「ベリアル? どうかした? 疲れちゃった?」
ぺるみがオレの顔を覗き込んでいる。
……すごくかわいい。
ドキドキする。
創り物の身体なのに……
ドキドキがもっと速くなる。
オレにも心臓があるのかな?
「えっと……あの……オレ……」
勇気を出せ。
どうせ話したところで、ぺるみはよだれを垂らしてグフグフ言うだけなんだ。
「うん?」
「オレ……今までも……これからも……ずっと……ぺるみが大好きだ」
神力の花火がぺるみをキラキラ照らしている。
綺麗だ。
ぺるみの銀色の髪が輝いている。
「ふふ。わたしもだよ」
……!
想像してたのと違う。
すごく幸せそうに笑っている?
「ぺるみ……」
オレの真剣な気持ちが伝わったのか?
「ベリアルはすごくすごく大切な家族だよ」
……!
家族……か。
そうだよな。
オレはぺるみにとって、恋人やパートナーじゃなくて家族なんだ。




