誕生日の宴は最高だ! (2)
今回はベリアルが主役です。
「そうね。でも……良い事ばかりではないのよ。豊かな国では食べ物を食べきれなくて廃棄されているのに、住む場所によっては食べる事すら困難な人間も大勢いるの」
ホワイトドラゴンが悲しそうに話しているけど……
「食べ物が捨てられちゃうのか? こんなに旨いのに? もったいないよ」
「それに……」
「……ん? どうかしたのか?」
「ええ……もう、向こうの世界は長くなさそうね」
「そうなのか?」
「豊かな暮らしに慣れ過ぎて生活の質を落とすのが難しいらしくてね。さらに豊かにする為に大地に無理をさせ過ぎたのよ」
「大地に?」
「わたしには聞こえるから……あの世界の悲鳴がね」
「悲鳴?」
「大地は災害を起こしてその苦しみを知らせようとしているのに、人間は見て見ぬ振りをしているの。温暖化はさらに進んでそのうち……」
「……ホワイトドラゴン?」
「わたしとブラックドラゴンも、しばらくしたらこっちに帰ってくる事にしたのよ」
「ヨータ達はどうなるんだ?」
「すぐにあの世界が滅びるわけじゃないわ。まだしばらく先の事よ。わたし達もまだ二、三年はあっちにいるつもりだったけど……あと一年で帰ってくる事にしたの。ヨータの母親のヨーコが亡くなった後もあの世界の人間は百年近く滅ばないはずよ」
「そうなのか……」
「だんだん出生率が低くなっているし、戦もね……ルミがグンマで溺死してから、たった十数年で向こうの世界はずいぶん変わったようね」
「そんなに変わったのか?」
「酷い戦……使ってはいけない兵器……戦に機械が次々に導入されて。ルミが暮らしていた国は戦をしてはいけない決まりがあるのよ。でも、他の国はそうではなくて。機械は武器を持たされて人間を大量に殺害して……物価は上がって貧しい人間は追い詰められているの」
「……向こうの世界も色々大変なんだな」
「……じご……よ……」
「え?」
よく聞こえなかった。
何て言ったんだ?
「なんでもないわ……あの世界の未来はあの世界の人間達に決めさせましょう。もう破滅への道は誰にも止められないところまで進んでしまったの。まさかアレを使うだなんて……あとはどれだけ最期の時を遅らせられるかよ」
「いつか……この世界もそうなるのかな?」
「それは誰にも分からないわ。この世界は違う方法で滅びの道を進んでいるのかもしれないし」
「……オレ……この世界が好きだよ。天界よりずっとずっと大好きなんだ。だから絶対に滅んで欲しくないんだ」
「そうね。わたしもこの『人間と魔族の世界』が大好きよ」
「オレ……この世界の『大地』に優しくするよ。そうすれば『大地』は悲鳴をあげないよな? 皆が『大地』を大切にすれば世界は滅びないよな?』
「そうね。一人一人が大切にすればきっと滅びないわ。でも、なかなか難しいんじゃないかしら。人間も魔族も、大地に感情があるなんて知らないから」
「そっか。そうだよな……あ! そうだ!」
ぺるみがオレに……
なんだっけ……
全種族ベリアルアイドル化計画?
そんな感じのやつをやらせようとしてたよな。
そこでオレが皆の前で『大地』を……『世界』を大事にしろって言えばいいんじゃないか?
それと、世界中を巡礼してる司教にも協力してもらって……
でも、さすがに違う世界の話はできないから……
そうだ!
『戦をしたりして、大地に無理をさせたら世界が滅びるかもしれないから大切にしないとダメだ』って巡礼で世界中の人間に話してもらうんだ。
魔族達には種族王達から伝えてもらって……
これって、ぺるみへの一番の恩返しなんじゃないか?
ぺるみはこの世界の生き物が仲良く暮らす事を願ってるんだよな?
オレはぺるみに、ずっとずっと守ってもらってきたんだ。
これでやっとぺるみの役に立てるんじゃないか?
よし!
オレ、決めた!
「……? ベリアル? どうかしたの?」
「ホワイトドラゴン……オレ、今まで自分が何をしたらいいかとかよく分からなかったけど、やっと分かったよ」
オレにも見つかったよ。
誰かに無理矢理やらされるんじゃなくて、オレ自身の意思でやりたい事が。




