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腹の探り合いって疲れるよね

「……ああ、何とお呼びすれば?」


 アンジェリカちゃんのおじい様が尋ねてくる。


「うん。魔族の皆は『ぺるみ』って呼んでいるよ? でも、一応小国の王女っていう事になっているの。魔素で閉ざされていて見つからなかった国っていう設定でね」


 王族を名乗らないと、大国の王であるお兄様には近づけないからね。


「なるほど。そうなのですね」


「でも、王女で『ぺるみ』だとおかしいから『ペリドット』って名乗る事になったの」


 名前が似ているのもあったけど、ペリドットの石言葉が『夫婦愛』だったからハデスが大賛成したんだよね。


「ではペリドット殿下、これからの話をしたいのですが」


「殿下!? 恥ずかしいから殿下なんて呼ばないで欲しいよ」


「ははは! ココ様にも同じ事を言われました。ではペリドット様とお呼びしましょう」


「うん。公の場以外ではそうして欲しいな」


「はい。では、そうするとして……もしペリドット様が陛下の婚約者に選ばれたとしたら、その時は王妃としてリコリスに、とどまられるのですかな?」


「あぁ……それはないよ? わたしはハ……前ヴォジャノーイ王と結婚しているから」


「そうですか」


「アンジェリカちゃんのおじい様……公爵って呼んでもいいかな?」


「はい。もちろんです」


「公爵は孫のアンジェリカちゃんが王妃にならなくてもいいの?」


「アンジェリカは幼い頃から……前の婚約者であった今は亡き王子にずっと傷つけられてきました。お妃教育もアンジェリカにとっては苦痛でしかなかったのです。これからは、自由に生きて欲しいのです。我がアルストロメリア公爵家はココ様を次期王妃にと考えております」


 なるほど。

 次期王妃か。

 その辺りはしっかり考えてあるんだね。

 これから『貴族を敵に回す王』の妃になるのは大変だからね。

 かわいい孫を王妃にはしたくないっていうわけか。

 ココちゃんの後ろ楯になれば同じ事だし。

 自分のかわいい孫娘には自由を……か。

 でも公爵家っていう立場だと実際はそうはいかないんだろうな。


「わたしは、とりあえずアンジェリカちゃんとアカデミーに通おうと思っているの。その方が近くで守れるでしょ? 魔族に調べてもらったんだけどココちゃんも一緒に通っているんだよね?」


「はい。人目のある場所ならば安全かと考えていたのですが、一昨日、アカデミー内から令嬢が姿を消しました」


「お兄様の婚約者候補だったの?」


「はい。奴らの魔の手はもうすぐそこまで迫っているようです」


「……誰が犯人か分かっているんだよね? 捕まえないのには理由があるんだよね?」


「陛下はあの若さではありますが、なかなかの策士です。拐われた令嬢達を魔族に助けさせているようです。この事はわたしと一部の者しか知りません」


 わたしを試しているのかな?

 あのお兄様と魚人族が簡単にばれるような助け方をするはずがない。

 探っているのかな?

 ここは、知らない振りをしよう。

 

「そうなの? お兄様はなぜそんな事を?」


「……ははは。さすがは陛下と双子なだけの事はありますな。試すような事をしてしまいましたな」


 やっぱり試されていたのか。

 簡単に口を滑らせるようなら見限るつもりだったのかな?

 さすがは大国の王族だっただけの事はあるね。

 余計な事は言わないように気をつけよう。

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