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ベリアルのくちばしに桃が刺さるとンゴンゴ言うんだね

「それでは、あらためまして……無人島でのバカンスにようこそっ! ささ、皆さんウェルカムフルーツをどうぞ!」


 ベリス王子が嬉しそうに挨拶を始めたね。

 テーブルに並ぶ三百五十個超えの桃は一体いくらになるんだろう。

 ひとつ金貨一枚だとしても三千五百万円……

 ポセイドンの桃製造マシンから出てくるタダの桃で、ミルクも砂糖も第三地区にあった物を使っていたよね。

 しかも、タダ働きをさせられたし。

 少しくらいは安くしてくれるよね?

 と言うよりはタダでよくないかな?

 

「おお! これが噂のウェルカムフルーツか!」


 コットス達の瞳がキラキラに輝いているね。

 第三地区の皆もお花ちゃん達もパパもママも喜んでいるよ。

 

「うわあぁ! 中身はアイスクリームだっ! うまぁぁぁぁい!」


 ベリアルもすごく喜んでいる。

 頑張って良かった。

 正直眠いけど、大好きな皆が喜んでいる姿を見たら疲れが吹き飛んだよ。


「ぺるみ様。良いお顔になっていますね」


 ベリス王子が微笑みながら話しかけてきたね。


「良い顔?」


「はい。商売人の顔です」


「商売人……? わたしには商売は無理だよ。駆け引きとかできないし」


「商売で大切なのは駆け引きよりも、用意した商品を喜んでいるお客様の笑顔を想像する事です」


「笑顔を想像?」


「はい。ですからぺるみ様には商売の才能があるのですよ。ぺるみ様の周りはいつも笑顔で溢れていますから」


「……そうかな?」


「はい。ぺるみ様……」


「うん?」


「ベリアルが……」


「え?」


 ベリアルがどうかしたのかな?

 ベリス王子の作り物の笑顔が固まっているね。


「……? ベリアルがどうかしたの?」


 ……!?

 ベリアルのくちばしに桃が刺さっている!?


「ンゴンゴ! ンゴンゴンゴンゴ!」


 しかも、ンゴンゴ言いながらバタバタしているね。

 大変そうだけどかわいいかも……

 ぐふふ。

 明日クラスの皆に教えてあげよう。


「ベリアル……大丈夫? 桃がカチカチに凍っていたかな?」


 桃をくちばしから取ってあげるとベリアルが震えているね。

 怖かったのかな?

 

「こんな……」


「こんな?」


「こんなに旨いモモは初めてだあああ!」


「あはは。感動していたんだね。でもくちばしが刺さって大変そうだったよ」

 

「勢いよくモモに差し込んじゃったんだ。思ったより固かったな。中身がアイスクリームなんて最高だよ。早く続きを食べないと」


「そうだね。アイスクリームが溶けちゃうからね。でも溶けた時はモモをスプーンで崩してアイスクリームと混ぜると……ほら。一口食べてみて?」


「ん? モグモグ……うまっ!」


「結局おいしい物は溶けてもおいしいんだよね」


「うん! えへへ。まだ余ってるな。もう一個食べてもいいか?」


「余らせても、もったいないからね。あ……でも、クロノスおじい様達にも食べさせてあげたいかも」


「クロノスおじい様? ああ。そうだな。なんか甘い物が好きそうだったしな」


「三個だけ残してもらえるかな」


「分かった! じゃあ残りはオレとゴンザレスとゲイザー族の皆と……あと、ヨシダのじいちゃんとばあちゃんと……あと、オークとハーピーと……あと……」


「あはは。ちゃんと皆にも分けてあげるんだね」


「うん! だって旨い物は皆で食べるともっと旨いだろ? あ、バニラちゃんの分も残しておかないと。少し遅れるって言ってたんだ」


 バニラちゃんはパートナーさんを食べた魔族の所に行っているのかな?


「そうだね。ベリアル……見て?」


「ん? 何をだ?」


「皆すごく幸せそうに笑っているよ」


「……そうだな。ぺるみの望む未来……か。ここには天族と魔族、あと異世界のだけど人間もいる。皆が仲良く暮らせる世界……遥か昔この世界ができたばかりの頃みたいに、皆が仲良く暮らせる世界。それがぺるみが望む未来だよな」


「なかなか難しそうだけど……この島の中で可能ならいつか世界中の皆が仲良くできるかもしれないよね」


「数千年後にはもしかしたらそうなってるかもな。人間は身分制度が無くなって、魔族は人間を食べなくなって。天族は性格が良くなって他人を見下さなくなって……確かに難しそうだけど、願わなければ……動かなければ何も変わらないからな」


「うん。ベリアル……不思議だね。わたしはオケアノスでペルセポネで月海でルゥで。ベリアルはオケアノスだった。わたし達は元は同じオケアノスなのに全然違う道を進んできたんだね」


「そうだな」


「これからもよろしくね」


「ん? ああ。そうだな。オレもよろしく頼む」


「ふふ。ベリアル?」


「ん?」


「せーの!」


「「「お誕生日おめでとう!」」」


 皆の声が重なったから大きな声になったね。

 ベリアルがかなり驚いているよ。

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