なんだか身体が痛いんだ
今回はベリアルが主役です。
うぅ……
頭と身体が痛い……
風邪かな?
確か夜中にベリス王の店にチョコレートを食べに行ったんだよな。
どうしてこんなに身体が痛いんだ?
「(お邪魔しますよぉ)」
ん?
この声はぺるみ?
また吸いに来たのか!?
「させるかあ!」
先手必勝だ!
今日は吸わせないぞ!
「なんだ。起きてたの?」
「なんだってなんだよ」
「あーあ。残念」
「お前……吸おうとしてたな」
「えへへ。ばれたか。早く起きて無人島に行こう! 早く早く!」
「ん? もうそんな時間か? 全然寝足りないよ。身体も痛いし」
「あは……は。そう……なんだね」
「……? なんだよ。どうかしたのか?」
「ううん。なんでもないよ」
なんだ?
あきらかに様子が変だぞ。
「無人島でお昼寝したら? きっと良い夢が見られるよ」
「……? なんでだ?」
「ベリス王子が一生懸命準備したからだよ。気持ちのこもったおもてなしを受ければベリアルだって嬉しいでしょう? ハンモックもあったし気持ち良くお昼寝できるはずだよ」
「それもそうだな。よし、行くか」
あれ?
でも、どうしてぺるみは無人島にハンモックがあるって知ってるんだ?
「うん! コットス達も来る事になったんだよ」
コットス?
「コットスが来るのか? そうか! 楽しみだな。オレ、コットス好きだぞ。って、コットスの弟達も来るのか?」
「うん。勇気を出して来てくれる事になったの」
「そうか。じゃあ絶対楽しんでもらわないとな!」
「うんっ! よし、じゃあ出発だよ! ベリアルは何を持っていくの?」
「ん? オレは虫取り網と麦わら帽子だ!」
「くうぅ! 堪らないねっ!」
うわあ……
ぺるみがすごくニヤニヤしている。
しかもオレを見る目が生ぬるい……
「……この変態め」
また、いかがわしい想像をしたんだな。
「あはは。あ、ゴンザレス達も起きたね。ぐふふ。麦わら帽子に虫取り網を持ったベリアル……楽しみだよ。じゃあ広場で待っているからね」
こいつは本当に救いようがないな。
はぁ……
それにしても身体が痛い。
「ベリアル大丈夫?」
ゴンザレスが心配してくれている。
かわいいなぁ。
「うん。大丈夫だ。えへへ。ゴンザレスとお出かけできるなんて、楽しみだなぁ」
「オレもベリアルとお出かけできて嬉しいよ」
くうぅ!
かわいくて堪らないよっ!
って、これじゃぺるみみたいじゃないか……
あ、ぺるみが引き戸を閉めながら隙間から覗いている。
あいつは本物の変態だな。
すごくニヤニヤしているぞ……
どれだけオレの事が好きなんだよ。
「ぺるみは覗くなよ! 着替えができないだろ!?」
「え? 着替え? いつも裸なのに恥ずかしいの? 麦わら帽子を被って虫取り網を持つだけだよね?」
確かに……
オレはいつも裸だけど……
「そんな隙間から見られたら気持ち悪いんだよ!」
「ぐふふ。恥ずかしがるヒヨコちゃんも激かわだね」
「恥ずかしいんじゃなくて気持ち悪いんだよ!」
「んもう……はいはい。じゃあ、わたしは広場に戻りますよ」
「って言いながらまだ覗いてるだろうが! この変態め!」
やれやれ。
ぺるみは、やっと広場に行ったな。
日に日にオレに対する変態が増していっているような……
オレ……いつか頭から食べられないよな?
「……ベリアル」
ゴンザレスが心配そうにオレを見つめている?
かわいいゴンザレスにこんな顔をさせたらダメだ。
ぺるみの変態が酷くなってきている事は忘れて今日は楽しもう。
無人島でバカンスなんて滅多にないからな。
「無人島かぁ。あのベリス王子が準備しているんだからかなりすごいんだろうなぁ。向こうに行ったら一緒に遊ぼうな!」
「うん! そうそう。昨日のチョコレートおいしかったね」
やっぱりゴンザレスはかわいいなぁ。
「うんうん。ホワイトチョコレートはすごかったよ。また食べたいなぁ」
「そういえば昨日ハデス様のお父上が来ていたよね」
「ん? ハデスの? そうだったかな?」
「ずっとベットで掛け物にくるまっていたよ?」
「うーん……? ああ。掛け物から手だけ出してた奴か?」
「そうそう。一瞬姿が見えたけどすごく綺麗だったよ」
「ふぅん。天界で何回か姿を見た事があったけど、ずっとローブを被っていたから顔は見た事がないな」
だから、どんな顔をしているのか知らないんだよな。




