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おもてなしって疲れるけど楽しいね

「はあ……終わったね」


 なんとかウェルカムフルーツを作り終わったよ。  


「はい。ありがとうございました。助かりました」


 ベリス王子が砂浜に仰向けに寝っ転がって空を見ているね。

 わたしも横になろうかな。


「うわあぁ! 日が昇ってきたよ!」


「はい。綺麗ですね。……ふぅ」


 ベリス王子が安心したように息を吐いている。


「ペルセポネ……」


 ん?

 ハデスも横になって空を見ているね。


「ハデス。手伝ってくれてありがとう」


「コットス達を喜ばせたいからな」


「うん。コットス達は無人島に来るのが怖いはずなのに勇気を出してくれたんだよね」


「そうだな」


 ハデスが優しく微笑んでいる。

 最近はずっと笑顔だよね。

 父親であるクロノスおじい様の事が落ち着いたからかな?


「ぺるぺる、ハデスちゃん……ありがとうなぁ」


 吉田のおじいちゃんも寝っ転がって空を見ていたんだね。


「おじいちゃん? ありがとうって?」


「コットス達がタルタロスから出る気持ちになれたのは二人のおかげだ」


「……おじいちゃん」


 あ……

 おじいちゃんの隣で横になっているおばあちゃんが泣いている。


「お月ちゃん……大丈夫か?」


 吉田のおじいちゃんが心配そうに話しかけているね。


晴太郎はれたろう……ああ。長かった……やっと……息子達を抱きしめられる」


「すまなかった……全部オレのせいだ。オレが息子達を捨てたから……でも……これからは何よりも家族を大切にする。二度とお月ちゃんを泣かせたりしねぇから」


「……晴太郎。今日……タルタロスに行くんだ。クロノス達に謝ってくるつもりだ」


「……今日はコットス達も無人島に来るからなぁ。タルタロスでクロノス達とじっくり話してくるといい。ベリアルのぱーてーは、ちゃんと盛り上げとくからなぁ」


「赦してもらえるとは思ってねぇけどなぁ。今までの事を心から謝るつもりだ」


 おばあちゃんの泣き顔は見ていて辛くなるよ……

 

 ……ん?

 何か忘れているような?

 あれ?

 なんだったかな?


「……! あああっ! ベリアルっ!」


 しまった。

 あの時は忙しくて、木に縛りつけたまますっかり忘れていたよ。 


「そういえば、ベリアルを縛りつけたままだったな。我らは先に第三地区に戻るか。ベリス王子も共に行こう」


 ハデスはこんな時でも冷静なんだね。


 こうして、吉田のおじいちゃんとおばあちゃんを無人島に残して第三地区に戻ると……

 ベリアルが木に縛りつけられたままスヤスヤ寝ているね。

 起きないように抱っこして、ベットに寝かせる為にベリアルの部屋に入ると……

 ゲイザー族の皆が気持ち良さそうに寝ているね。

 バニラちゃんは、いないみたいだ。


 ぐふふ。

 ベリアルを抱き枕に抱きつかせて……

 よし。

 これで証拠隠滅だよ。

 木に縛りつけた事は秘密にしないとね。

 

「はあ……疲れた」


 第三地区の広場でため息をつくと畑の方から話し声が聞こえてくる。

 誰かが歩いてくるね。


「お? ぺるみ。早いな」


 雪あんねぇとウェアウルフのお兄ちゃんだったんだね。

 後ろから第三地区のおじいちゃんとおばあちゃん達も歩いてくる。

 今日はお出かけだから朝早くから皆で畑仕事をしてきたのかな?

 

 皆は桃製造マシンの無い方の畑に行っていたみたいだね。

 ベリス王子はウェルカムフルーツの桃の中身がアイスクリームだっていう事を食べるまで秘密にしたいらしいんだよね。

 さっきまでのウェルカムフルーツ作りを皆に見られていなくて良かった。

 


「えへへ。雪あん姉、おはよう。今日は晴天だね! バカンス日和だよ」


 無人島で皆に楽しんでもらえたら嬉しいな。

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