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クロノスおじい様に一番似ているのはヘスティアかもしれないね

「ぷはっ! ほれ、ぺるぺる、急がねぇと日が昇るぞ!」


 吉田のおじいちゃんの言う通りだよ。


「うん。だいたいは終わったみたいだけど……桃が変色しないように砂糖水に五分くらい浸けるんだっけ?」


 でも、もう桃の中にアイスクリームを入れちゃったよね。


「しまった! そうでした……ああ。失敗してしまいました」


 ベリス王子が膝から崩れ落ちたね。


「大丈夫だよ。わたしがなんとかするから! ベリス王子は出来上がった桃をお皿に乗せて」


「ぺるみ様……」


「ベリス王が言っていたよ。王子がすごく頑張っているって。だから、わたしにもお手伝いさせて欲しいな」


「……はい。ありがとうございます。では、わたしはお皿を……あれ? お皿がない? 先程までは山積みになっていたのに……」


「ふふ。楽しそうね」


 この声は……

 ヘスティア!?

 

「どうしたの!? こんなに早く」


 朝は苦手なんだよね?


「手伝いに来たのよ」


「え? どうして……?」


 すごくいい匂いがする。

 香水かな?

 着飾っていて、いつも以上に綺麗だよ。

 こうして見るとヘスティアはクロノスおじい様によく似ているね。


「ふふ。お皿はテーブルに並べてあるわ。枚数が足りなそうだったからベリス王国に行って持ってきたわよ」


「ヘスティア様。ありがとうございます」


 ベリス王子が安心したように微笑んでいるね。


「いいのよ。ほら、急がないと間に合わないわ。ヘラとデメテルが来る前に終わらないと。あの二人は必ず、やらかすわ」


「やらかす……とは?」


「ベリス王子は知らないのかしら。ヘラは自分の怪力を知らないのよ。ヘラの宮殿も持ち物も本人には秘密で、かなり頑丈に作られているの。デメテルは神力が強くて何をしてもやり過ぎてしまうし。あの二人が手伝うと言い出したら……おしまいよ」


「そんな……急がなくては!」


 ベリス王子が慌て始めたね。

 よし、わたしは残りの桃の皮を風の力で剥くよ。


(ぺるみ。手伝わせてくれ)


 え?

 風の上位精霊のジン?


(ぺるみが自分の神力で風を操れる事は知っているが……なんだか寂しくてな)


 今まで通りに甘えてもいいの?


(もちろんだ)


 ありがとう。

 すごく嬉しいよ。


「うわあぁ! すごい! ジンは皮剥きの天才だね!」


(ははは! そうだろう。あとは砂糖水をかけるのか?)


「うーん。ジンならできるかな? 風の力で、桃の周りに砂糖水をとどまらせたいの」


(そんな事は簡単だ! これでどうだ?)


「うわあぁ! すごいよ! ジンは何でも出来るんだね」


(ははは! これくらいは簡単だ!)


「じゃあ、全部の桃をお皿に乗せられる?」


(任せろ!)


 すごい。

 あっという間に三百五十個超えの桃がお皿に並んだよ。


「ジンありがとう。助かったよ」


(ははは! なかなか楽しかったぞ。さあ、急いで無人島へ行け。日が昇るぞ)


「うん!」




 こうして空間移動で桃を無人島に運ぶと、皆で一休みする。

 

 ヘスティアは来なかったんだね。

 着飾っていたし、これからお出かけなのかな?

 ちゃんとお礼を言えなかったよ。

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