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お友達のおじい様の好きだった人が自分のおばあ様って気まずいよね

 邸宅の中に案内されると、すぐにメイドがお茶を持ってくる。


「うわあぁ! すごい! 見た事ないお菓子だあ! じいちゃん、これ全部食べていいのか!?」


 ベリアルがつぶらな瞳をキラキラ輝かせているね。

 くぅぅ!

 かわいいっ!


「かわいいヒヨコちゃん、おかわりもたくさんありますよ?」


 アンジェリカちゃんのおじい様はすごく優しそうだね。


「やったぁ! じいちゃん大好きっ! いただきますっ。モグモグ。うまあぁぁい!」


 あぁ……

 わたしも『ぺるみ大好き』って言ってもらいたいよ。

『ママ大ちゅき』でもいいけどね。

 ぐふふ。

 って、そうじゃなくて。


「ええと……突然ごめんなさい。でも、アンジェリカちゃんがいない時で良かったのかも。アンジェリカちゃんのおじい様は、今リコリスで起きている誘拐事件を知っているのかな?」


「……お嬢さんは、あのお方……なのですか?」


「あぁ……名乗らなくてごめんなさい。でも、わたしは死んだ事になっているから」


「……何か事情があるのですね?」


 やっぱりわたしが聖女ルゥだって分かっていたんだね。


「うん。お兄様を助けたいの。ずっと守られてばかりだったから、今度はわたしが助けたいの」


「……わたしを信頼してもよろしいのですかな? 裏切るかもしれませんぞ?」


 ベリス王の話だと確かお兄さんだったアルストロメリア王を裏切ってシャムロックのおじい様とおばあ様を助けてくれたんだよね?


「……わたしには何があったかは、よく分からないけど。でも……ありがとう」


「ありがとう……ですか?」


「うん。魔族の種族王に聞いたの。シャムロックのおじい様とおばあ様を助けてくれたんだよね? それから、ルゥのお母様が連れ去られた時に密偵を……その人間には本当に感謝しているの」


「そこまでご存知とは……」


「魔族はこの世界の大体の事を知っているから」


「では、あの者……密偵の最期をご存知なのですか?」


「うん。最期までお母様を守ってくれたらしいよ? お陰でお兄様とルゥは産まれてこられたの」


「そうでしたか。お母上を最後まで守れずに残念です」


「そんな……シャムロックのおばあ様も感謝していたよ?」


「……そうですか」


 確かおばあ様の事が好きだったんだよね?

 今でも好きなのかな?

 でも、結婚したから孫のアンジェリカちゃんがいるんだよね?

 昔の良い思い出……なのかな?

 それとも辛い思い出?


「わたしね? アンジェリカちゃんのおじい様を信じているよ? わたしの大切な人達をいつも守ってくれた優しい人間だから。アンジェリカちゃんもお兄様の婚約者候補なんだよね? 出かけているなんて、大丈夫なの? 誘拐犯に狙われないの?」


「……今はシャムロックのタウンハウスに遊びに行っているのです」


「ココちゃんの所に?」


「ココ様をご存知でしたか」


「うん。お兄様の事もそうだけど、アンジェリカちゃんとココちゃんの事も守りたいの。その為にね? わたし、お兄様の婚約者候補として リコリス城に行きたいの!」


 この方法が一番手っ取り早いからね。

 アンジェリカちゃんのおじい様に協力してもらえれば助かるんだけど、いずれわたしが魔族と暮らしていた聖女ルゥだったって皆に話すつもりだから。

 その時にアンジェリカちゃんのおじい様が、魔族と関わりがあるかもって人間に疑われて迷惑がかかったら困るからね。

 とりあえず、話せるところまでは聞いてもらおうかな?


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