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『あなたのセンスで買ってきて』って結局何を買ってきても文句を言われるんだよね

「……今すぐ化粧品を入手したいのですが。わたしの柔らかい皮膚はこの乾燥には耐えられません」


「オレも新しい書物が欲しい。今すぐにだ。明るくなったら書物を読みやすくなってな」


 側付きの二人はベリス王の店舗に行きたいんだね。


「チョコレート……」


 ん?

 チョコレート?

 クロノスおじい様はチョコレートが欲しいのかな?

 相変わらず掛け物で顔を隠しているけど、これはもしかしたら……


「じゃあ、今から皆で買い物に行こうよ! 絶対楽しいよ」


「めんどくさい……」


 クロノスおじい様はベットから出たくないのかな?

 じゃあ……


「ベットごと行こうよ。うさちゃんもソファーに寝たまま移動しているんだよ」


「……寝たまま?」


「うん。クロノスおじい様はベットに寝たままベリス王の店舗に行ってチョコレートを買おうよ。すごいんだよ。いろんな形があって。そうそう。最近ホワイトチョコレートを作り始めたらしくて。真っ白い濃厚なチョコレートなの。他にもチョコレートがたっぷり入っているクッキーとかもあるよ? それからホットチョコレートもあるらしいよ」


「ホット?」


「温かいチョコレートの飲み物だよ? 一緒に行こうよ」


「ホットチョコレート……」


 これは……

 もしかしたら引きこもりの三人が数千年振りに外に出るチャンスかも。


 吉田のおじいちゃん。

 聞こえる?


(聞こえてるぞ。今からベリス王の所に行ってくる。店を開けるように頼んでくるからなぁ。ぺるぺるは三人をベリス王の店舗に連れてきてくれ)


 うん。

 こっちは任せて!


 よし。

 最後の一押しだよ!


「クロノスおじい様は知っているかな? ……生チョコレートを」


「生チョコレート……?」


「すごいの! 口に入れるとすぐに溶けちゃうの。柔らかくてトロッて溶けて濃厚で……あれはチョコレート好きとしては一度は食べないと。でも傷みやすいからなぁ……お土産にはできないんだよ」


「生チョコレート……ゴクリ……」


 ふふふ。

 クロノスおじい様はすっかりチョコレートの口になっているね。


「よし! じゃあ、今から行こうよ。鏡と化粧品と書物とチョコレートを買いに!」


「……ペルセポネ……買ってきて」


 クロノスおじい様はタルタロスから出たくないのかな?

 

「でも、どのチョコレートがいいか分からないし……」


「ペルセポネのセンスで……」


「わたしのセンス?」


 それって……

 何を買ってきても文句は言わないみたいに聞こえるけど、実際は何を買ってきても文句を言われるやつだよ。

 うぅ……

 おじい様と一緒に買い物できたらハデスがすごく喜ぶのにな。

 ハデスはずっとお父さん孝行をしたがっていたから。

 

「ハデス……?」


 ん? 

 あ、もしかしてわたしの心の声を聞いたのかな?


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