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冥界をリゾート地にはさせないよ

「父上はペルセポネに裸はダメだと叱られたらしいぞ。ははは!」


 コットスもヨシダじゃなくて父上って呼ぶようになったんだね。

 ブリアレオースはずっと黙っているけど微笑んでいる。

 

「しかし、父上は常に裸でいたいのか?」

「確かに全裸なら身体中に風を感じられるだろうが」

「だが、大事なところは隠さないとな」

「ははは! 隠す隠さないは個人の自由だ」

「父上は自由人なんだな」

「自由か。父上の為にあるような言葉だな」


 コットスの五十個ある頭同士が話している。

 全部の頭が同じ考えじゃないんだね。


「ぺるぺる。ケルベロスが限界みてぇだなぁ」


 え?

 吉田のおじいちゃんが優しく微笑みながらケルベロスを見つめている。

 あ、ケルベロスの三つの頭がウトウトしているね。


「ケルベロス……ベットで寝てきて?」


「あぁ……はい。ありがとうございます」

「ペルセポネ様……頭を撫でてください」

「オレも! オレも!」


「ふふ。ケルベロス、毎日冥界を守ってくれてありがとう。あのね? わたし、アカデミーを辞めたら冥界の仕事のお手伝いをさせて欲しいの。疲れきっているケルベロスを楽にしてあげたいの。いいかな?」


「え?」

「いいんですか?」

「やったぁ!」


「一年の三分の一だけになるかもしれないけど」


「嬉しいですっ!」

「あぁ……夢のようだ」

「いや、本当に夢かもしれないぞ。絶対に目覚めたくない!」


「あはは! 夢じゃないよ。ケルベロスが門番をして、わたしが天界からの使者の相手をしてハデスがタルタロスを見守る。そうすれば、ケルベロスの負担も減るでしょう?」


「天界からの使者の相手を!?」

「やったぁ!」

「あれが一番面倒なんだ。ネチネチうるさくて。しかも、冥界を天界のリゾート地にするとか意味不明な事を……あ、これは冥王様には内密にな」


「はあ!? リゾート地? ハデスとケルベロスがここまでするのにどれだけ苦労したかも知らないくせに!?」


「何度も断っているのにしつこくて」

「でも、こんな事を冥王様が知ったら怒り狂うはずです。だから耳には入れられなくて」

「毎晩眠れないほど大変なのにリゾート地になんてなったら……あぁ……もう無理だ」


「大丈夫だよ。わたしがしっかり断るから。でも『冥界をリゾート地に』なんて、神様であるお父様が言ってくるはずないと思うんだけど。それに、わざわざ使者なんてよこさなくても自分で直接ハデスに言えばいいんだし」


「ハデス様がまだ魔族として『人間と魔族の世界』にいた頃からの話ですから。ゼウス様もいなかったし……その頃は大天使が悪さばかりしていて」

「あの頃の神は今はブラックドラゴンとして過ごしているのでしたね。あの大天使達をよくあそこまで押さえ込んでいましたよ」

「そうだな。あいつじゃなけりゃ天界はさらに酷くなってただろうな」


「そうだったんだね。じゃあ、お父様の知らないところで冥界をリゾート地にする計画が進んでいるのかな?」


「そのようですね」

「デメテル様達が書類には必ず目を通していますから。こんな事をデメテル様達が許すはずがありません」

「たぶん、オレに許可を得たら決定事項として神に伝えるつもりなんだろう」


 天界にはもう悪い大天使はいなくなったはずだけど……

 こういう事をする天族はまだいるんだね。

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