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勇気を出すって難しいよね

「ペルセポネ様ぁぁ!」

「今宵は冥界で過ごす日ですよぉぉ!」

「忘れたのかぁぁあ!」


 ん?

 この声は冥界のケルベロス?

 あれ?

 今日は幸せの島で過ごす日じゃなかったかな?


「ケルベロス……ごめん。てっきり幸せの島で過ごす日かと思って」


「今すぐ行きましょう」

「ささ、早く早く」

「しっかり抱きついてください」


 ケルベロスが嬉しそうにしているね。


「あ、待って。ハデスが魔王城から戻って来ていなくて」


「大丈夫です」

「ペルセポネ様の気配で冥界に行った事に気づくはずですから」

「ささ、早く早く」


「そうなの? うさちゃんはソファーごと行けるかな?」


「ソファー? もちろんです」

「ぐっすり寝ていますね」

「冥界に着くまではうさちゃんを抱っこしていてくれ。落ちたら大変だからな」


 こうして冥界に来たけど……

 ん?

 あれって……

 吉田のおじいちゃんとコットス達だ。

 そうか。

 コットス達はもうタルタロスでクロノスおじい様達を見張らなくてもよくなったんだ。


「お? 来たな。ぺるぺるは今日は冥界で寝る日だったんか」


 吉田のおじいちゃんがコットスに優しく肩もみされながら話しかけてきたね。


「吉田のおじいちゃんも来ていたんだね。わたしも幸せの島で過ごす日だと思っていたの。ケルベロスが呼びに来てくれたんだよ」


「そうか、そうか。じいちゃんはコットス達と酒盛りしてたんだ。息子達と飲む酒はいいなぁ」


「ふふ。皆楽しそうだね」


「じいちゃん達は明日の無人島の話をしてたんだ」


「そっか。あ、じゃあ、コットス達も来たら? きっと楽しいよ。ベリアルの秘密の宴もあるし」


「第三地区の人間達と魔族が来るのか。ベリアルの宴なら行かなければな」


 コットスは第三地区に来た事があるから皆の事を知っているんだよね。


「うん。ギュエース達は初めてで不安もあるかもしれないけど……どうかな?」


 ギュエース達はタルタロスから外に出たがらないって聞いたから、今も勇気を出して冥界に来ているはずだよ。


「……タルタロスも変わったからな。オレ達も変わる時が来たんだ。オレと共に行こう。外の世界は賑やかで楽しいぞ?」


 コットスは確か一番上のお兄さんだったよね。

 弟達にタルタロスの外の世界を見せてあげたいって言っていたけど、本当はコットスも外の世界は怖いはずだよ。


「外の世界……まだ勇気が出ないんだ」


 やっぱりギュエース達は怖いんだね。

 容姿を恐れられるのが辛いんだ。

 ブリアレオースはずっと黙っているね。


「ねぇ、ギュエース? 第三地区の皆も魔族も絶対にギュエース達を怖がったり差別したりなんてしないよ。むしろ、かっこいいって言うと思うけどな」


「ペルセポネ……だが……」


「勇気を出して外に出たら、もっと早くこうしていれば良かったって思うかもしれないよ? もちろん怖い気持ちも分かる。でも……コットスは怖かったけど勇気を出して前に進んだの。ギュエースとブリアレオースが後に続きやすくなる為に」


「……コットスが。……父上も一緒に行ってくれるか?」


 ギュエースは吉田のおじいちゃんを父上って呼んでいるんだね。

 

「もちろんだ。無人島に行って海で遊ぶか。綺麗な貝殻も旨いお菓子もいっぱいあるぞ?」


 吉田のおじいちゃんが嬉しそうに笑っている。

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