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空間移動はよく考えてからしましょう

「確か……ここだよね? えっと、どうしようかな?」

 

 今日リコリス王国に来たのはアンジェリカちゃんとココちゃんとルゥのおばあ様に会う為なんだ。

 まず、アンジェリカちゃんの邸宅に来たんだけど……

 群馬にいた頃は友達と遊ぶ時は『あーそーぼー』って大声で誘っていたよね?

 さすがにこの立派な邸宅でそれはないよね。

 うーん。

 

「おい。門番がいるぞ?」


 おお!

 ベリアルが良い事に気づいたね。

 でも『どなたですか? 』って尋ねられたら?

 一応それっぽい人間の身分を偽造してもらったけど。

 知り合いじゃないと通してもらえないよね?

 アンジェリカちゃんの友達はルゥだし、元の身体になった事は人間ではルゥのお兄様とおばあ様しか知らないからね。

 いきなり訪ねてもアンジェリカちゃんもわたしがルゥだって分からないだろうし。


 空間移動して中に入っちゃうとか?

 それじゃ泥棒みたいだね。

 

「おい! ぺるみ! 聞いてるのか!? 入らないのか!? お菓子が待ってるんだ!」


 ベリアルが限界みたいだね。


 ん?

 馬車の音がする?

 アンジェリカちゃんの邸宅に入りそうだよ?

 門番が門を開けたね。

 確かアンジェリカちゃんのご両親は領地に帰っているんだよね?

 じゃあ、もしかしたらアンジェリカちゃんが乗っているのかも。

 でも、誰が乗っているのかは見えないね。


「おいってば! もう面倒だな! オレに任せろ!」


 え?

 ベリアルに何を任せ……

 って、ちょっと!

 勝手に空間移動したの!?


「うわあぁ! 眩しい!」


 まさか、馬車に空間移動したの!?

 男性の声だ。

 空間移動すると眩しくて目が開けていられないんだよね。

 よし、今のうちにもう一度空間移動して外に逃げ……じゃなくて、外に出よう。


「(ベリアルもう一度空間移動して? 早く)」


「(はぁ!? なんでだよ? せっかく家に入れるようにしてやったのに)」


「(さすがにこれはまずいって! 今の声、絶対アンジェリカちゃんじゃないよ?)」


「(声変わりしたのかもしれないだろ?)」


「(はぁ!? アンジェリカちゃんは声変わりはしないんだよ?)」


 早くしないと、ここにいる事がばれちゃうよ!


「あ……お嬢さん? わたしは膝が悪くてね……」


 え?

 あ!?

 いやだ!

 膝に抱っこされている状態だったの!?


「ごめんなさい! わたし……うわあぁ! どうしよう!」


 慌てて膝から下りると立ち上がった拍子に天井に頭をぶつける。


「痛っ!」


「お嬢さん……大丈夫ですか?」


「ごめんなさい……あの……わたし……」


「落ち着いてください。アンジェリカの……お知り合いですかな?」


「あの……うん。こんな事になって恥ずかしいよ」


「とりあえず一旦落ち着いてください。さぁ座って」


「あぁ……どうも……」


 向かいの席に座ると恥ずかしくて顔が熱くなる。


「ははは、アンジェリカは今、出かけているはずです。中でお茶でも……」


「お茶!? お菓子はあるか? 甘いやつ!」


 あぁ……

 ベリアル……

 かわいいけど、話すヒヨコちゃんなんて怖がられちゃうかも……


「これはこれは。かわいいヒヨコちゃんですなぁ」


 おお……

 冷静なおじいさんだね。

 アンジェリカちゃんのおじいさんかな?

 さっきの会話を聞かれちゃったかな?

 アンジェリカちゃんはわたしとベリアルの事をどこまで話してあるんだろう?


「あの……アンジェリカちゃんのおじい様なのかな?」


「はい。そうですよ? お嬢さんはアンジェリカのお友達ですかな?」


「うん。あのね? お願いがあって来たの」


「ほお……」


「……もう分かっているんだよね? わたしが誰かって」


「……とりあえず中でお茶でも飲みながらゆっくり話しましょう」


 この感じ……

 やっぱりわたしがルゥだって分かっているんだね。

 アンジェリカちゃんのおじい様はアルストロメリア王国の王族だったんだよね。

 さすがだね。

 全然動じていないよ。

 ローブを被ったヒヨコちゃん連れの不審者がいきなり光の中から現れたんだよ?

 それなのに冷静だなんてすごいよ。

 立派だな。

 むしろわたしの方がソワソワしちゃって恥ずかしい。


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